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投資用ビークルのメリット・デメリット

以前、投資用ビークルとしては、日本では民法上の任意組合がよく使われていました。これはアメリカのLimited Partnershipと同様に、組合段階では法人税が課せられないパススルー課税であり、契約だけで組成でき、登記も不要という負担のかからないものでした。しかし出資者が無限責任になることがデメリットです。

 

従来は投資事業を行う際、従来は、民法上の任意組合の他には、商法上の匿名組合(TK)の利用を検討するしか方法がありませんでした。ところが、任意組合では業務を執行しない組合員までも無限責任を負うため結果として投資行動に制限が生じ、投資ファンドの組成が活発に行われてこなかったため、業務を執行する無限責任組合員と、出資のみを行う有限責任組合員に区別することで投資ファンドの組成を活発化させようと1998年11月に「中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律」が施行され、民法の特則が設けられました。

 

その後、投資対象が拡大され、2002年には匿名組合が、2003年には産業活力再生特別措置法の認定企業など一定要件を満たす事業再生企業が追加されました。2004年には上場会社への出資のほか、金銭債権の取得・融資等も行えるようにするとともに、法律の名称も投資事業有限責任組合契約に関する法律へと変更されました。

 

ベンチャー・キャピタルファンドは、投資するのが株式だけであり、そもそも投資先の大元の株式会社そのものが有限責任ですから、ファンド本体が借り入れを行わない限り、出資者は無限責任を負うことがありません。なのでそれほど大問題にはならないのですが、法的に有限責任である方が気分的にいいのです。こういった難点を解消するために、投資事業有限責任組合が多く活用されています。

 

この投資事業有限責任組合(LPS:Limited Partnership)は、GPは無限責任ですが、LPは有限責任です。そこでベンチャー・キャピタルがGPを務め、そのほかの出資者はLPを務めます。LPは責任が有限ですので、安心です。任意組合と同様に、パススルー課税のメリットはありますが、任意組合と異なって登記が必要だったり、会計監査が必要だったりで、若干、コストが余計にかかります。そのため、そうしたコストが吸収できる数億円規模以上のベンチャーファンドは現在LPSで組成されているものが多くあります。

 

また、海外投資家から資金調達するファンドまたは海外向け投資用のファンドには、ケイマン諸島等に設立された海外法のLimited Partnership等が使われることも多くなっています。

 

この組合員が多いと、契約書を変更するのも大変なんですよ。人数分だけ押印をもらいに行かなければならないですからね。

 

 

 

 

 

 

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