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自社だけ良ければいいではうまくいかない

インドの自動車メーカーがトヨタのジャストインタイムを真似てみようと思ったそうです。これは在庫を最小化するために、必要なものを必要なときに、必要な量だけ作って供給しようとするものです。このインドメーカーは、部品供給業者に対し、必要な量を実際にラインで組み立てる二日前に連絡するから、一日前に必要な数だけ持ってきて欲しいと言ったそうです。その結果、自動車メーカーの部品在庫は激減しました。

ところが部品供給業者にしてみれば、納品すべき数が読めないために、安全を見て多めに部品を作りだめして、在庫をたくさん持つようになったのです。つまり自動車メーカーの在庫が部品供給業者の在庫に移っただけで、サプライチェーン全体としては在庫の量はむしろ増えてしまったそうです。

しかも短期的には自動車メーカーの部品在庫が減って在庫コストが下がったように見えても、その分部品供給業者の在庫コストが上がっているため、長期的には上手く行くはずがないのです。部品供給業者はコスト上昇分に耐え切れず、その自動車メーカーから離脱するか、コスト上昇分を部品価格に上乗せせざるを得ません。そのために結局は自動車メーカーのコスト削減にはつながりません。

インドの自動車メーカーでジャストインタイムが機能しなかったのは、部品供給業者を巻き込んで連携を図れなかったことです。従来の考え方では、安定した製品を生産するためには、一定程度の安全在庫が必要だと考えました。在庫が増えすぎるとコストがかさみ、在庫が少なすぎると問題が起こったときに在庫切れして生産ラインがストップしてしまいます。そのため、最適在庫量がどのくらいかが研究されていました。

そこでジャストインタイムでは、最適在庫量という考え方は適切でなく、在庫は限りなくゼロがいいと考えました。前の作業と後ろの作業のスピードが合わなければ、在庫があれば調整できます。その結果スピードが合わないという問題は目立たなくなります。また、不良品が出て、その分を捨てるか再生産に回すか考えなければならないときも、一定量の在庫があれば、それで目標生産量は達成でき、重大な問題とはみなされなくなります。

一定レベルの在庫があれば、リスクは減りますが、不良品の生産を許してしまいます。在庫を限界までゼロに近づけると、あらゆる面での厳しい規律が必要になります。そのため、アンドンという仕組みがあり、ある生産ラインを担当している作業員が、何か問題があると思ったら生産ライン全体を止めるボタンを押します。在庫をゼロのすると、ある工程で不良品が出た場合には次の工程の生産ができなくなってしまいます。そのため絶対に不良品を出してはならないということになります。そのため生産ラインを止めて、不良品発生原因を突き止め、問題を根本から解決するという考え方なのです。

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