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ビジネスには二つのジレンマがある

ビジネスには失敗しやすい構造的要因があります。それは同質化の失敗と、異質化の失敗というものです。前者は他社と同じことをやっていては成功しない、後者は他社と違うことをやれば成功しない、というもの。恐らくこの中間点にビジネスを成功させるポイントがあると思うのですが、どちらかに針が触れてしまうと、上手く行かないということになります。

他社と同じことをやっても成功しない、というのは差別化を出せない企業や他社と同じものしか提供できない企業は、顧客から見るとその存在理由があるわけです。儲かるマーケットには次から次へと企業が参入してきます。そうなりますと、差別化のない同質競争になり、価格競争に陥り、利益は限りなく減少し、失敗するのです。差別化とは優位性です。それは他社と比較して優れているもの。でもなかなかその違いを明確にするのが難しいのです。

他社と同じこともしかし、過去の自社を同じことをやっていても当然失敗します。事例としてはフォードは、自動車の組み立て工場を単純作業を細かく分類することで標準化し、流れ作業にする方式を採用しました。この結果熟練工が不要になり、コストが劇的に下がっただけでなく、生産能力は向上します。これで多くのアメリカ国民が自動車を手に入れられるようになりました。これによりフォードは他社と異なることをやって大成功を納めます。

ところが町中フォードの車ばかりになると消費者はそこに他人と異なる者を求めたがります。つまり黒いフォードばかりだったので、自分は赤や青等の色を付けたがります。しかしフォードは黒のモデルTに拘りました。それは同じものを大量に作るから安くなるという信念です。異なるものを作るのは成功モデルからの逸脱だと考えるようになります。そのうち競合が出てきて、様々な形や色の車がマーケットに出てくると、フォードは急速に市場シェアを奪われてしまいました。

市場の立ち上がり期や成長期には、顧客が潜在的に欲しいと思っているけれども、世の中に十分に普及していない物を提供すれば、同じものを提供しても売れるのです。つまり需給バランスが崩れており、需要はあるが供給不足の状態です。ところが普及して成熟期に入ると、顧客ニーズが多様化してきます。そうなりますと、顧客は人と同じものをもっていることに飽き足らなくなり、自分の好みにあった製品・サービスを求めるようになります。すなわち、製品・サービスの普及が進むと、マスから、市場が分化して複数のセグメントへの分化が進んでいくのです。

成功した製品やサービスであっても全ての顧客のニーズを平均化した製品やサービスは特徴のないものとして認識され、どの顧客にとっても、どこか物足りなさのある者となってしまいます。こうなりますと顧客ニーズの多様性に合わせて、そのセグメントにあったものを提供する必要が出てきます。

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