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トヨタの海外での取り組みでのすごみ

トヨタの海外での取り組みの一例を紹介しましょう。インドに進出したときに、地元の工業高校出身の労働者を組立工として雇ったそうですが、トヨタの基準を満たす品質の製品が作れず、工業高校のクラスを見に行き、ある溶接のクラスでは数十人の生徒に対して溶接機が一台のみしか与えられず、体験できるのは一人だけで残りは見ているしかできなかったということでした。溶接機を寄付しても意味がないことに気づき、トヨタは現地で専門学校を作ります。それがトヨタ・テクニカル・トレーニング・インスティテュートです。

一学年で50人の生徒に三年間技能を学んでもらうための全寮制の学校で、しかも学費は無料。一定額の給付金までもらえるというモノでした。対象者は家庭が貧しく学校に進学できない子供たちに限定しました。しかもここで学んだ人はトヨタに入社する義務もなく、逆にトヨタが入社させる義務も負わないことにしたのです。

そして生徒の募集をかけると、50人の店員のところに何十倍もの応募がありました。その中からトップ50人を採用できるわけですから、非常に優秀でやる気の圧人材が確保できることを意味しています。しかも貧しいために機会を与えられず、あきらめていたところに進学して良い職につけるチャンスが得られるわけです。モチベーションが高くなるのも当然です。

3年間かけて優秀な若者にトヨタ流の考え方を教えた結果、9割以上がトヨタに入社しているそうです。トヨタの生産方式は、このように時間をかけて教え込まないととても身につかないものなのでしょう。トヨタが北米に工場を建設したのは1980年代に遡りますが、このときも自動車産業の集積地であるデトロイトは選ばず、近代的な向上がないアメリカ南部のケンタッキー州やカナダのオンタリオ州に進出しました。

当然、デトロイトの方が自動車生産の経験のある行員を雇えるのですが、トヨタの価値観とは異なる行員は使いづらく、何も知らない人材を雇って白紙から教育した方がいいという判断でした。そのため、トヨタの教育を受けたアメリカ人は、アメリカ人らしからぬ、チームワーク重視、愛社精神の溢れる生粋のトヨタ人である価値観に溢れた存在なようです。

トヨタの考え方は、既存の価値観に染まっている地元の工員を即戦力として雇い入れ、早わかりのマニュアルを与え、すぐに生産ラインにつかせるのではなく、トヨタ流の価値観を教え込んでから、工員として生産ラインにつかせるという少し時間がかかる方式をとっているのです。即効性がないゆえに、どの自動車メーカーも簡単には真似のできない方法と言えるでしょう。

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