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成功は所詮後付評論でしかない

企業の成功談は後付け評論が多いということもあります。また、ある時期の成功企業が、その後失敗をすると手のひらを返したかのようにダメ出しが始まります。2000年当初に一世を風靡したエンロンもその一つでしょう。

エンロンに勢いがあったころは次から次へと繰り出す革新的な経営手法が非常に高く評価されていました。ガスや電気という単なるエネルギー産業に、エネルギー資源を取引するエンロン・オンラインのようなマーケットを創出し、自らがマーケットメーカーとなってリスクを管理する画期的なビジネスモデルを導入しました。

一般的に垂直統合型で巨大な資産を必要とするエネルギー業界において、自社で資産を持たずに他社の資産を活用する戦略は、アセット・ライト戦略をいい、この方法は素晴らしいと絶賛する評論家も少なくなかったのです。しかもフォーチュン誌では6年連続でエンロンをアメリカでもっとも革新的な企業としていました。

しかしこのビジネスモデルはエネルギーのような一定の条件を満たす業界でしか機能するものではありません。例えば商品が完全に均一であり、商品がネットワークでつながっており、瞬時に任意の供給者から調達して、バイヤーに供給できるようなもの、さらにほぼ正確な需給・価格情報がほぼリアルタイムで入手できることが条件となります。元々エンロンは、垂直統合型のアセット・ヘビーなユーティリティ企業でしたが、数年かけて慎重にリスク・マネジメント能力を強化し、アセット・ライト戦略へ転換しました。

エンロンはいつしか自社の成功に酔いしれ、上記のビジネスモデルを他の者にまで適用し始めます。例えばブロードバンドのバックボーン建設事業、新興国のユーティリティ企業などです。当初の慎重さはどこへやら。リスクを負いすぎたためか、それを繕うためにいよいよ不正経理操作にまで手を出してしまって、破綻に追いやられてしまうのです。

本来、エンロンのビジネスモデルが破綻したものではなかったのだと思うのですが、一度ダメになると、今までやってきたすべての事がダメ扱いされてしまうようになります。

しかしながら、エンロン開始当初の、供給者と需要者のほぼすべてがネットワークでつながってコモディティを取引している業界において、市場の非効率性を解消するモデルについては、何ら問題はなかったはずなのです。成功しているときは全面的に賞賛して、失敗したら全面的にけなすでは、学びようがなくなってしまいます。どんなに失敗したとしても、そこから得ることは少なくありません。特に、良い側面すら否定してしまうのはもったいない限りです。

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