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パナソニックの誤算

パナソニックはソニーとは異なる戦略をとっています。創業者である松下幸之助氏の水道哲学を代表として、パナソニックは水道の蛇口をひねれば安価な水がいくらでも出てくるように、質の高い家電製品を大量に作って誰もが手が届く安価な価格で消費者に提供し、世の中の生活を良くするという価値観を掲げてきました。

そのために、ソニーのように変わったことをやるのではなくて、安くて、良質で頑丈な家電を全国の家庭に届けることを彼らのミッションとし、その点で全体に他社に負けないビジネス・システムを作り上げました。そのためには安くて良質な製品を大量に開発・生産する能力だけではなく、全国にそれを届ける販売網である、ナショナルショップも重要な役割を果たしました。

どこかのメーカーが作ったものを、より安く、品質は高く、提供したのです。このような製品を非常に短期で開発・生産し、世に送り出せる非常に高い開発力・生産力を持っていました。そうして作り出した製品を販売網のナショナルショップで着実に全ての消費者に届けていました。

パナソニックは他社と同じことをやることによって、必然的に起こる価格競争による利益逓減に対して、圧倒的なスケールによるコストダウン、そして圧倒的な販売力によるシェア確保という戦略で同質化の失敗からの出口を見出しました。

さて、最近はどうでしょうか。ソニーの場合は、シャープが液晶画面のフラットテレビを出したころから、ソニーの革新的というイメージが薄れていきました。液晶テレビの登場に対して、ソニーの動きが遅かったのは、トリニトロンの成功にはまっていたからだと思われます。過去の成功体験に引きずられて、新しいこと、変わったことをやる文化が失われ、常に先進的なことに挑戦し続けるブランドイメージを築き、テレビを高く販売して儲けるという図式が崩れ去っていきます。

パナソニックの場合も、水道哲学は日本の高度成長期と呼ばれていた事態には、消費者のニーズに見事フィットしていたものの、日本市場が成熟して、どの家庭も家電余りの状態に陥った時点で、水道哲学は消費者のニーズに合致しなくなってしまっていきました。

新興国向けの製品は安すぎて儲からないと考え、及び腰だったのかもしれません。その結果、他のアジア諸国等のメーカーに、海外市場は浸食させていきます。自社のミッションに忠実であるなら、日本でやったことを同じことを新興国でもやらなければならないのでしょうが、そのようにしなかったことで、パナソニックらしさが失われていきます。

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