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大量生産が向かない製品やサービスもある

成功した企業のやり方を表面的に真似しても、上手く行くとは限らないのは、実は目に見えない要因があるからです。また、複数の解の一つを実行して、たまたま成功した他社の事象を後付けで分析し、成功要因を抽出することはできるのですが、それが再現性があるかが疑問なのです。成功企業の状況と、自社独自の状況が異なるため、同じことを実行しても成功企業と同じように成功することは難しいと思われます。

売上が大きいA社と売上がA社と比較すれば数十分の一にすぎないB社。どう考えてみてもA社の方がいいに決まっていますが、そこに条件がまだあります。A社の方は大量注文を受注するのにたけ、規模の経済性を利かせて製造単価を下げて成功していました。B社は少量注文なのですが、オーダーメイドの製品で製品単価自体は高いものでした。B社は顧客の要求水準が高いので、どのような複雑な注文でもその要求にこなす職人が揃っていました。さて、このようなB社がA社のような方法をとったとしたらどうなるでしょうか。

A社には高度な技術を持つ職人がいないのですが、B社には高度化技術を持つ職人ばかりが揃っており、そういう人たちが、大量生産のような同じことを繰り返しさせられる仕事にはまるで向いていないのです。さらにプライドまで傷ついてしまいます。技能の低い人であれば低コストで雇えるのに、技能の高い人を使っていれば、製造コストはどれだけ上がってしまいます。だからと言って給料を下げるわけにもいきません。

人材だけでなく、同じものを繰り返し大量に作る機械は、一つのシンプルな形状だけを繰り返し作ることだけに特化した専用マシンで良く、どんな形状でも作れる汎用性の高いマシンは高くなってしまいます。そのためB社は、技能の高い職人と汎用性の高い機械を用いて顧客の細かいニーズに対応するという、自社の優位性がなくなってしまうのです。B社は難しい注文を高度な技術で少量生産するための最適な仕組みが取られていたわけで、それに合わないことをやればB社の仕組みが機能しないのは当然なのです。

大量に作れば安くなるという規模の経済は論理的ではあるのがですが、上記ではA社には機能しても、B社では逆効果になってしまうことがあります。

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