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中国とインドの移転価格税制の考え方

独立企業間価格を算定する方法をいくつか見てきましたが、概ね諸外国でも独立価格比準法、再販売価格基準法、そして原価基準法を基本三法と考えていますが、海外の中でも特にアジアにおいては、海外子会社の機能やリスクが限定的な場合が多い、つまり海外子会社は製造機能しか持たず、日本の親会社の決定に従って、製造のみを行うことが多いと思われますので、一般的には取引単位営業利益率法を用いるのが合理的であり、採用も多いようです。独立企業間価格の算定方法に違いがなかったとしても、その選定や具体的な適用方法によっては日本と一致しないケースもあります。

 

以下、中国とインドの場合で具体例を見てみましょう。

【中国】

中国子会社が製造をメインとしている場合には取引単位営業利益率法を用いるケースが多いのですが、研究開発機能を持つ場合には、中国側に独自の機能を持つと考えられ、利益分割法や残余利益分割法が用いられるケースが多くなります。

特に中国子会社側に知的財産があると考えるときには、中国の税務当局が利益分割法を用いてくる例が多いようです。なぜならば、取引単位営業利益率法は中国製造子会社の機能やリスクに見合う利益水準にしか課税できませんが、利益分割法では知的財産による超過利益を中国側で課税することができるからです。

知的財産が日本親会社と中国子会社のいずれに帰属するかを研究開発活動における役割分担などについて事前に明確にしておく必要があります。

 

もう一つ、仮に取引単位営業利益率法の適用が認められた場合においても、中国当局の方で中国子会社の機能やリスクに見合わない、比較対象企業を選定してくる場合があります。つまり、限定的な機能やリスクしかおっていないにもかかわらず、いかにも中国子会社が優れた機能と独自のリスクを負っているかのように主張し、中国の当局に有利な企業を選定してくる場合があるということです。この辺はさすがにやりたい放題です。

税務リスクを少しでも回避するためには、中国子会社の機能やリスクをしっかりと文書化したうえで、税務調査に当たって比較対象との相違点をきちんと説明できる準備を進めておくことです。

 

【インド】

インドの場合の移転価格税制適用の傾向は次の通りです。

  • 中国と同様に比較可能性の分析が適切でない場合。
  • 現地法人は単に仲介的なサービスを提供しているにすぎないのに、税務当局が、仕入れや売り上げを独自に上げている、つまり過度に機能とリスクをふかして、利益水準を高めてくる場合。
  • 単なるルーティンの活動をしているのに、現地子会社に知的財産があるとして過大な利益配分を求めてくる場合。
  • 現地法人が赤字の場合、支払ロイヤルティの損金算入を認めない場合。

 

新興国では税収確保のために躍起になっていると思うべきでしょう。税金が合計で安くなるならいざ知らず、同じ税金を払うのであれば、日本国になるべく収めたいものです。もちろん合理性があった場合にはですが。

 

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