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海外の役務取引における税務

日本の親会社は、海外子会社に対して、財務、管理等の広範囲な支援を行っており、日本の親会社はその対価を回収すべきこととされています。役務提供の有償性の判断については国税庁が以下の通り明確にしています。

 

有償性あり 有償性なし
(1)  企画又は調整

(2)  予算作成管理

(3)  会計税務又は法務

(4)  債権管理及び回収

(5)  情報通信システム運用・保守・管理

(6)  キャッシュフローや支払能力の管理

(7)  資金の運用又は調達

(8)  利子率または外国為替レートに係るリスク管理

(9)  製造・購買・物流又はマーケティングに係る支援

(10)            従業員の雇用・配置・教育

(11)            従業員の給与、保険事務

(12)            広告宣伝

【重複活動】

非関連者が当該国外関連者に行う役務の提供又は当該国外関連者が自らのために行う活動と重複する活動

 

【株主活動】

国外関連者に対し株主としての地位を有する法人が、専ら自らのために行う株主としての法令上の権利の行使または義務の履行に係る活動

(移転価格事務運営要領2-9(1)(3))

 

役務提供の対価を総原価とできるケースは次の通りです。

日本親会社または海外子会社の本来の業務に付随する役務提供 左記以外で一定の要件を満たす役務提供
・日本親会社がその役務提供を主たる事業としていない場合、本来の業務に付随して行う役務提供

・海外子会社から製品を輸入している日本親会社が、当該海外子会社の製造設備に対して行う技術指導等

・役務提供に要した費用が原価はまた費用の額の相当部分を占める場合や無形資産を使用する場合等を除く

(1)  その事業活動の重要な部分に関連していない

(2)  要した費用が減価又は費用の額の相当部分を占めていない

(3)  無形資産を使用していない

(4)  関連する直接費及び間接費の計算が合理的な配分割合によっている

(移転価格事務運営要領2-10)

 

上記、総原価は、原則、当該役務提供に関連する直接費だけでなく、合理的な配賦基準により計算された担当部門や補助部門の管理費等の間接費も含みます。

 

海外子会社に役務提供費用を負担させるにあたり注意すべきは次の2点です。

  • 役務提供対価の損金性
  • 役務提供対価の支払いに伴う源泉税

 

役務対価の支払いについても、独立企業間価格に即していれば原則損金性が認められます。よくあるケースで、日本親会社が本社費として一律で配賦計算を行っている場合、子会社が稼得している便益との紐づきが認められないとして損金性が否定される可能性があります。配賦計算に当たっては、海外子会社の売上高の一律基準にするのではなく、配布する費用の内容に応じて、人員数等の適正な配賦基準を用いることで、海外子会社が稼得している便益との関連性を示すことが重要です。

 

なお、本来、源泉徴収が不要な役務提供費用に使用料認定をすることで、源泉課税を試みてくる場合もあるので、この点も注意が必要になります。

 

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