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為替リスクを予約以外で軽減する方法

<為替リスク>

外貨建資産・負債がバランスすれば、原理原則上、為替リスクはゼロになります。為替予約は有効な為替リスク対策にはなりますが、為替予約に頼る前に努力することがあると思います。その視点が次の4つです。

(a)           外貨取引自体をなくせないか。減らせないか。

(b)          外貨建債権債務をなくせないか。減らせないか。

(c)           値決めに為替スライド制を導入できないか。

(d)          決済時期を調整するリーズ・アンド・ラグズ(Leads and Lags)は利用できないか。

 

まずは外貨建て資産・負債の圧縮。サイト短縮は検討に値しますが、相手があるので難しいでしょう。外貨決済のタイミングを為替相場の見込みに応じて早めたり、遅めたりする方法もありますが、為替相場の見込みは往々にして外れるので結果的に自然体の方がよかったということもあります。

 

簡単ではありませんが、実務上、通貨マリーという方法があります。これは同一通貨建ての反対取引を行うことです。つまりドルの輸出がある会社ならドルの輸入を行うことで為替リスクの低減を図る手法になります。場合分けをすると次のようになります。

(1)輸出はあるが輸入はなく今後も期待できない場合

→輸出再建に見合う程度の外貨借り入れを行います。

(2)輸入はあるが輸出は増やせない場合

→輸入債務と同じ通貨の外貨預金(定期)。定期預金を途中解約できない場合には普通預金のウェイトを増やします。

(3)ドル預金目的の両替ができない国の対応

例えば、ベトナムでは預金目的での外貨への両替は禁止されています。ベトナムはインフレ率が高い国で、基軸通貨ドルに対して安くなる傾向があります。ベトナム子会社で輸出がなく輸入のみで輸入債務がある状況は最悪です。ベトナムドンをドルに両替できないため、為替差損を出しやすいのです。この場合には短期的には入金されたドルをそのまま温存し、中期的には海外からの調達を減らし、国内調達を増やす、そして輸出を増やすということになるでしょう。

(4)複数通貨で外貨取引があるケース

通貨ごとにバランスさせます。

 

次に、親会社との取引決済通貨での効率的な取引方法を見ておきましょう。

(1)親会社との決済の基本は円

親会社の対外決済(輸出入等)の通貨ごとのバランスが極力とれるようにします。また、海外現地法人の対外決済(輸出入等)の通貨ごとのバランスが極力とれるようにします。ある通貨から別の通貨への両替には手数料が発生するので両替の頻度・金額は極力抑え込みます。

 

(2)輸出入は親子間のみ

親子間は輸出入とも円で決済する場合。ドルで決済して為替リスクを抱える必要もなければ、ドルに換えて為替手数料をかける必要もありません。但し、海外現地法人の輸出入のバランスによっては、円と現地通貨の為替リスクが発生しますので、通貨マリーの手法で抑え込みましょう。

 

(3)親会社がドル建てで調達した部材を供給

製品は日本の親会社へ輸出する以外は現地で販売する場合。親子間は輸出入とも円で決済。親会社はドルの輸入債務があるので、ドル定期預金で為替リスクを抑える工夫をしましょう。海外現地法人の輸出入のバランスによっては、円と現地通貨の為替リスクが発生しますので、通貨マリーの手法で抑え込むことになります。

 

(4)親会社は現地法人か輸入した製品を輸出(現地法人:輸入あり)

日本の親会社:海外からドルで調達した部材を海外現地法人へ輸出、海外現地法人から購入した製品をアメリカ等へドル建てで輸出・親会社以外からの輸出なし。製品は日本の親会社へ輸出するほかは現地で販売する場合、輸出入のバランスによりますが親子間はドル決済が有利になります。

 

(5)親会社は現地法人から輸入した製品を輸出(現地法人:輸入なし)

日本の親会社:海外からドルで調達した部材を海外現地法人へ輸出。

海外現地法人:輸入なし。製品は日本の親会社へ輸出するほかは現地で販売。

 

親子間はドル決済が望ましいでしょう。親会社は輸出債権と輸入債務である程度バランスしますが、海外現地法人はドル建ての輸出債権のみで輸入債務がない状態となるため、現地通貨とドルの為替リスクを負います。親会社宛の配当金やロイヤルティをドル建てとすることで現地通貨とドルの為替リスクを抑え、両替手数料の無駄を減らすことができます。

 

 

 

 

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