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香港に統括会社を設置するケース1

日本の親会社がシンガポールと香港、上海に子会社を置いていましたが、香港を統括会社にして、シンガポールと上海の子会社が孫会社になるケースを考えてみましょう。

 

  • シンガポール及び上海持分の譲渡損益課税

(日本)

100%子会社に対する現物出資は適格再編となりますので、譲渡損益は発生しないと考えます。

(香港)

法制上現物出資も可能です。日本親会社から上海子会社やシンガポール子会社の全株式を譲り受けた時点では特段課税関係は生じません。

(シンガポール)

譲渡対象子会社のあるシンガポールでは、譲渡法人が譲渡対象となる会社株式の20%以上を保有し、譲渡する直前まで24か月間以上当該会社の株式を保有している場合、譲渡損益は発生しません。

(上海)

譲渡対象子会社のある中国(上海)では譲渡損益課税(10%)が生じます。但し、特殊税務処理の要件を満たせば課税が繰り延べられます。

 

  • 配当金

(支払配当金)

香港国内の法人から支払われる配当金は香港内外を問わず課税されません。

シンガポール子会社から香港統括会社へ支払う配当についてもシンガポールでは非課税です。

上海子会社から香港統括会社へ支払う配当は、中港租税条約により原則5%となっています(本来は10%であるが、5%の軽減)。

 

(受取配当金)

シンガポール子会社及び上海子会社から受領した配当金は香港では課税されません。

 

  • ロイヤルティ

(支払ロイヤルティ)

香港⇒日本:香港において通常、みなし所得率30%に事業所得税率16.5%をかけた4.95%の税率で源泉徴収

シンガポール⇒香港:10%が源泉徴収

上海⇒シンガポール:企業所得税10%及び増値税6%、附加税(地方によって異なりますが13%)が源泉徴収

(受取ロイヤルティ)

シンガポール・上海⇒香港:通常オフショア所得として非課税。香港に源泉がある場合には香港で課税されますが、シンガポールや上海で源泉された法人税につき、香港統括会社で外国税額控除を行うことができます。

 

  • 利息

(支払利息)

香港⇒日本:日港租税条約で10%と規定されているものの、香港の制度の方が有利であるため、源泉税は発生しません。但し香港の統括会社からの支払い利息の金額が増加すると、香港では支払利息は損金不算入のため、グループの税負担は増加する可能性があります。

シンガポール⇒香港:租税協定がないため、シンガポールで法人税15%の源泉課税を受けます。

上海⇒香港:中港租税協定で上海で7%の所得税と、5%の営業税、附加税が源泉徴収。

 

(受取利息)

香港外からの受取利息は、当該受取利息が香港内に源泉があるとみなされる場合のみ香港で課税対象となります。受領された時点で課税対象となります。日本の親会社からの借入金をそのまま子会社へ転貸している場合等、香港に源泉がない場合はオフショア取引として非課税になります。香港に源泉があれば課税されますが、香港統括会社で外国税額控除を行うことができます。

 

  • 統括業務に係るサービス料

原則香港で課税。日本親会社が受けていたサービス料を香港統括会社で受ける場合、タックスヘイブン対策税制の適用外であれば、日本と香港の法人税率の差異による税負担額減少のメリットが考えられます。

 

  • 香港統括会社の資金活用

金融の自由度の高い香港で資金を一元管理することで為替リスクの低減、再投資や資金の融通、グループ拠点間の取引を仲介するネッティング(相殺)決済等、グループ全体の資金効率を高めることができます。また、グループ・ファイナンス機能を持たせ、グループ企業の財務を支える枠割を担うことが可能です。さらに中国本土への投資を考えた場合、香港は最大のオフショア人民元センターであり、人民元調達の利便性が高いこともメリットとして上げられます。

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