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海外進出は国際税務の知識が不可欠

海外進出は、現地でのファイナンスの容易さだけでなく、投資や貸付をどのように回収するかの問題にもなります。回収するスキームとしては、次のようなものがあげられます。

【海外現地法人から日本の親会社への資金還流方法】

項目 内容 留意点
配当金 ・配当は現地の法人税納税後の利益処分。但しアメリカや日本以外の法人税率は低い。

・日本側では外国子会社配当益金不算入制度を享受できる。25%以上の株式を保有していれば、配当は95%免税。

・現地での配当源泉税については直接税額控除ができない。現地での配当源泉税を本邦にて損金算入もできない。

・インドではインド子会社に対して配当税が課される。

ロイヤルティ ・技術援助契約を親子間で締結し、進出国で手続きが必要。技術使用料として売り上げの一定割合を親会社へ払う他、親会社から技術者が出張しての役務提供があった場合のアプセンスフィ―や旅費・滞在費等を決めておく。 ・インドネシアのようにロイヤルティを3%までしか認めないケースがある。

・技術者が出張して対価を親会社が受け取っていない場合、日本の国税から利益供与とみなされる可能性がある。

商標権・使用料 ・中国の場合、進出して10年になると技術使用料を認めたがらないが、商標使用料なら認めることがある。従って、ロイヤルティとは別にしておくべき。 ・中国の場合は商標権は国家が管理しており、首都北京での手続きが必要。
親子ローンの利息 ・親会社が日本で借り入れした資金を海外現地法人に融資する場合、親会社調達コストに若干の上乗せをした金利とするのが安全。

・親会社が無借金会社で潤沢な手元資金から海外現地法人に融資する場合も市場相場から乖離した金利で融資するのはリスクがある。

・銀行とも相談し、第三者に融資すると仮定した金利水準にする。高すぎると現地の税務当局から、低すぎると日本の国税から睨まれる。

上記は事業活動段階における利益還流方法です。実際にこれ以外には、撤退時に持分を容易に売却できるか、売却できるときに売却益(キャピタルゲイン)の課税はどうなるか、現地での課税や日本の親会社のタックスヘイブン対策課税と絡めて、投資の費用対効果を考えていく必要があります。

例えば、中国に進出するときは、出資や増資で対応した場合には、持分を全く回収できないことを想定した上で、利益の中から、配当か貸し付けに対する利息か、売上の中から、ロイヤルティ収入か、業務報酬かで回収できるか、その回収の一部が源泉税でどれだけ差し引かれるか、中国で支払った税金のうちどれだけが、外国税額控除で日本の税金を減らすのかどうかを考えて進出すべきです。もちろん中国にはそれだけでも進出すべき、巨大なマーケットというメリットがあるから、進出している企業があるわけですが。

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