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マレーシア現地法人の資金調達

マレーシアで日系の現地法人が資金調達を行う場合は、次のようになります。

 

増資 現地借入 親子ローン(外貨融資)
資金の出し手 日本本社

地域統括会社

現地金融機関 日本本社

地域統括会社

国外金融機関

通貨 リンギ リンギ リンギ・日本円・米ドル
現地法人の金利負担 なし あり(高い) あり
為替リスク なし なし あり(ヘッジ可)
資金使途 規制なし 規制なし 設備資金(限定的に運転資金)

 

日系現地法人の資金調達の手段としては、親会社からの出資(増資等)や親会社からの借入(親子ローン)が多くなっています。現地の金融機関の貸出金利が6~7%と高いために、親会社が円やドルで借り入れるケースが多いのです。また、邦銀が積極的に貸付を行っており、地場の金融機関との関係は借り入れもあるが、ほとんどが各種支払いのための送金や従業員の給与振り込みとなっているようです。

 

特に国外のグループ企業からの外資借入については、特段規制はありません。逆にマレーシアから国外グループ会社に対して外貨貸付を行う場合には、以下のような規制があります。

  • 国外グループ会社への貸付や借入(リンギ建て)

マレーシア国内での実在取引のための貸付であれば金額制限なく可能ですが、マレーシア国内からのリンギ建て送金はできないため、ドローバック送金やリンギ建て契約で他通貨による送金により貸し付けや借り入れを行います。

  • 国外グループ会社への貸し付け(外貨建て)

―国内またはオフショアに保有する外貨にて貸し付けの場合、金額制限なく可能

―リンギ建国内借入がない場合、金額制限なく可能

―リンギ建て国内借入があり、リンギを外貨に転換の上貸し付けを行い場合には、グループで暦年合計RM50百万を上限に貸付可能

 

なお、銀行借り入れを行う際に注意すべき点は、「印紙税」のコストの高さです。マレーシアの税法によると、金銭消費貸借契約書にかかる印紙税率は契約金額の0.5%となっており、10億円借りると500万円の印紙税がかかることになります(条件次第では0.1%まで下げられる)。同額であれば日本では20万円で済むのと大違いです。なお、オフショア市場であるラブアンを活用することで、ドルの借入によるコストが500リング程度で済みます。また、1社あたりで1億リンギ未満(約30億円)であれば中央銀行への報告や承認も不要です。

 

実務的な話ですが、マレーシアでは銀行保証枠が必要です。それは輸入原材料の関税支払いや、事務所の電気代、そもそも事務所の入居時にも保証枠が必要になってきます。事務所入居の際には、家賃3か月分を保証金として出すか、銀行保証枠を設けて銀行から発行してもらうレターを持っていくことになります。電力会社にも銀行発行レターが必要になることがあります。なお、保証料率は5~10bp程度が求められます。

 

銀行借り入れに対する心配よりも貿易取引においていくつか注意点を上げておきましょう。

  • 外貨建て輸出代金からの外貨保有が25%に制限されています。
  • 外貨口座を貿易決済用(Trade FCA)とその他の決済用(Invsetment FCA)に分別管理する必要があります。それぞれの口座の入金原資や払い出し目的は限定され、外貨の受取、支払に合わせ、外貨口座の位置づけを明確にしておかなければなりません。

 

(参考)基礎的経済指標

2015年 2016年 2017年
実質GDP成長率 5.0% 4.2% 5.79%
名目GDP総額 297(10億ドル) 297(10億ドル) 315(10億ドル)
一人当たり名目GDP 9,509USD 9,390USD 9,818USD
政策金利 3.25% 3.00% 3.00%
米ドル為替レート

(期中平均)

4.28リンギ 4.49リンギ 4.06リンギ
為替相場管理 複数通貨バスケット方式による変動相場制

出所:JETRO

 

なお、日本政策金融公庫は2015年1月22日にマレーシア大手商業銀行の「CIMB銀行」と「スタンドバイ・クレジット制度」にかかる業務提携契約を締結しております。

 

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