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海外における課税所得計算の留意点

法人税の課税所得計算は各国によって異なりますが、その時の注意事項を以下、記載しておきます。

 

  • 国外源泉所得

国外源泉所得が非課税の国があります(香港、マレーシア、シンガポール等)。日本では国際的な二重課税の排除として外国税額控除を用いる国もありますが、香港などは国外所得免除方式を取っています。しかし実務上は、所得源泉地がどこなのかは非常に微妙な問題に発展します。香港では税務当局の通達を元に判定します。シンガポールでは送金されない限り国外源泉所得は非課税扱いですが、一定の配当収入は送金されても非課税です。

 

  • キャピタルゲイン

キャピタルゲインが非課税の国があります(香港、マレーシア、シンガポール等)。キャピタルゲインが非課税ということは、キャピタルロスは損金に入れることはできません。

厄介な問題としては、キャピタルゲインの非課税国でキャピタルゲインが大きく発生すると、子会社の実質的な税負担率が下がり、課税率に関わらず、日本においてタックスヘイブン対策税制が適用される場合が出てきます。

 

また、その譲渡益がキャピタルゲインかどうかについての判定もシンプルではありません。具体的には次のような判断基準になります。

要素 キャピタルゲインの判定
株式等の保有目的 転売目的ではない
株式等の保有期間 短期保有ではない
類似取引の発生頻度 株式等を頻繁に売買していない
譲渡理由 値上がり益を狙っての売却ではない

 

シンガポールにおいて株式等の譲渡益がキャピタルゲインの資本的取引か、損益的取引かを判断するにあたっては、短期的な売買目的でなく、長期的な投資目的であれば(非課税の)キャピタルゲインとなります。

 

  • 費用の損金算入

損金算入が厳しく制限される傾向があります。例えばベトナムでは広告宣伝費、マーケティング費は損金算入の10%までしか認められません。さらに証憑書類の裏付けも確認されます。

また、日本親会社が本社費として配賦計算を行っている場合、子会社が稼得する便益と紐づけられているか確認できないとして、その損金性を否定したり、役務提供支払いをロイヤルティ認定して、課税を行ってくる場合もあります。

 

  • 減価償却

基本的な考え方は変わりませんが、マレーシアでは産業用でない建物には減価償却を認めない等、一部日本と異なる場合には注意が必要です。

 

  • 欠損金の繰越

子会社設立間もなくでは損失が発生することもあり、国によって欠損期間が異なるので注意が必要です。

 

  • ミニマム・タックス

外形標準課税に相当する税制があります。

  • インド:最低代替税(Minimum Alternative Tax)

当期純利益の18.5%が実際の税額を上回る場合、この当期純利益の18.5%については納付しなけれなりません。これは税制優遇措置等で税負担が小さくなる企業に税負担を求める制度です。

  • 台湾:代替ミニマム・タックス(Altenative Minimum Tax)

一定の免税所得等を加算した基本所得税額に基本税率を乗じた基本税額が実際の税額を上回る場合、その差額を追加納付する制度です。

  • フィリピン:最低法人所得税(Minimun Corporate Income Tax)

売上総利益×2%で計算される最低法人所得税額が通常の法人所得税額を上回る場合には前者金額を納付しなければなりません。

 

  • 連結納税制度

海外には連結納税制度を持つ国があります。ほぼ同義でグループ・リリーフ制度と言っている国もあります。

 

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