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移転価格税制の適用範囲の違い

日本の移転価格税制の適用対象となる国外関連者の定義は、形式基準と実質基準の判断(形式基準では50%以上の発行済株式数を有すること)となっていますが、海外子会社の現地の税制では、その範囲は日本と異なる場合があります。

 

例えば中国では、25%以上の資本関係で移転価格税制の適用対象となり、さらに25%以上50%未満での中国関連会社は日本では、実質基準に該当しない限りは、移転価格税制の適用対象とはなりませんが、中国では移転価格税制が適用されます。

 

インドネシアにおいては、現地法人と合弁会社を設立し、自社が50%未満、つまりマイノリティで価格決定権を持たない場合であっても、移転価格税制の適用対象となります。ちなみにインドネシアでも25%以上の資本関係で移転価格税制の適用対象となる。

 

香港やシンガポールに至っては、資本関係に基づく関連者の定義はなく、実質支配の有無で移転価格税制の適用有無を判定します。

 

以下、主要アジア諸国の移転価格税制の適用対象をまとめると次のようになります。

 

関連者形式基準 その他注意点
インド 26%以上 貸付金が債務者の総資産の帳簿価額51%

債務保証が債務者の借入総額の10%以上

取締役会の過半数の選任

他社所有の知的財産に完全依存

原材料の90%以上を特定者から調達、価格条件に当該供給者が影響を有する場合

製品を特定者に販売し、価格条件に当該調達者が影響を有する場合

相互利益の関係にある場合

インドネシア 25%以上 実質支配している関係

同一者によって実質支配されている二者以上の間の関係

マレーシア 50%以上
タイ 20%以上 直接間接に支配関係を有する者

同一の管理支配下にある者

フィリピン なし
ベトナム 20%以上 役員総数の半数以上

保証や貸付20%以上

血縁関係に該当する個人が双方で意思決定権を有する

知的財産権が依存関係にある

仕入、売上が50%以上を占める

契約書で業務提携を行っている

中国 25%以上 借入金が自己資本の50%以上を占める

借入総額の10%が一方の保証を受けている

役員が実質支配権がある

仕入、売上が依存関係にある

香港 なし
韓国 50%以上 役員の兼務が認められる

取引が依存関係にある

資金が依存関係にある

知的財産権が依存関係にある

シンガポール なし
台湾 なし

 

またアジア諸国では移転価格税制が国内関連取引にも適用される国(マレーシアやベトナム等)があります。同一国内に複数子会社を有している場合には、現地の子会社間取引にも適用されるので注意が必要です。特に優遇税制を受ける子会社とそうでない子会社との税率が異なる場合などに注意を要します。

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