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フレグランス、アロマ、フレーバー、匂いで釣れ、リピーターを獲得せよ

「嗅覚」は、人間の味覚を大きく決定する要因になっている。おそらく生物の進化の過程の中で、口の中に食べ物を入れる前に、腐った匂いで食べ物の安全を判断し、身を守っていたために、嗅覚が味覚を判断するうえで重要だったからであろう。嗅覚が味覚の8割を決めると考えている学者先生もいらっしゃる。

オレンジジュースとグレープフルーツを、目を閉じ、鼻をつまんで飲むと、両者ほとんど区別がつかなくなるらしい。最初から15種類の飲み物を提示し、このうち何を飲んだかわかるか、という実験では「カルピス」「ピーチ」「飲むヨーグルト」「ヤクルト」では半数がトンチンカンな答えになった(「味覚判断に及ぼす視覚と嗅覚の遮断効果」京都光華女子大学の調査)。この実験で、もし15種類の飲み物を提示されることなく、視覚と聴覚を遮断されたうえで、何の飲み物か当てるという実験であれば、もっと正解率は落ちていただろう。

実は匂いというだけでも二種類ある。それは鼻から直接吸い込む香りと、食べたり飲んだりした後に鼻に抜ける香りである。前者を「アロマ」、後者を「フレーバー」と呼ぶが、学術的には前者をオルソネーザル嗅覚、後者をレトロネーザル嗅覚と呼ぶ。ちなみにイルカはオルソネーザル嗅覚はあるが、レトロネーザル嗅覚はないらしい。つまりイルカは「フレーバー」を感じることはない。こう考えると人間は二種類の嗅覚で、コーヒーを二度味わっているのだと思う。もっともイルカがコーヒーカップをすすって幸福に満ち溢れている様子は全く想像できない。

コーヒーを本当に楽しむときには、もう一つの香りがある。それは挽いた豆の香りであり、それをフレグランスと呼ぶ。つまりコーヒーにはフレグランス、アロマ、フレーバーの三種の香りがあり、それぞれでリラックスを味わうことができる。

匂いは今でも飲食店の販促に使われている。鰻のかば焼きや焼鳥屋が、外へ煙と匂いを出していて、それにつられて、食欲を掻き立てられ、店に入ってしまうこともある。「またあれ食べたい」と思わせるのも、どうやら匂いにあるらしい。

逆に、食欲を抑える匂いというのもある。代表的なものは「グレープフルーツ」、これは体の代謝を高め、消化機能を改善するだけでなく、過剰な食欲を調節する。さらには、デザートでよく出てくる「バニラ」、これは鎮静効果を持つ。香りだけで満足させるという説もあるらしい。デザートは別腹というが、最後にバニラを食べて、食欲を抑えているのかもしれない。バニラアイスクリームを食べた後は、確かにもう終わりだ。そもそも腹いっぱい食べてこれ以上おなかに入らないということが多そうだが。

チョコレート菓子の宣伝ポスターに、匂いを仕組んだものもある。14枚の内1枚だけという但し書きもついており、ついつい匂いを嗅いでしまったりする。このような試みは、SNS映えする。匂いのあるポスターを指さしてしまう人もいるだろう。

いずれにせよ、「匂い」戦略は、新規顧客の販促にも、既存顧客のリピーターにも使えそうだ。残念なのはTwitterやInstagram等のSNSでは、現在のところ匂いをのせることができない。

2017年の東京ゲームショウでは、「VAQSO(バクソー) VR」というバーチャルリアリティー映像と連動して匂いを出すデバイスが出展された。ラーメン系ゲームではラーメンの香り、戦争系ゲームでは火薬の匂いが出る。そのうち、スマートフォンのハードに香りデバイスが搭載され、飲食店の販促に匂いが使われるようになるかも知れない。「#イチゴ」で甘い香りがするのか。そんな時代になったら「#(ハッシュタグ)」ではなく別の記号だろうが。

そのときは「音が出るので注意!」ではなく、「匂いが出るので注意!」になるのかも。少なくとも子供たちに大人気の「〇〇〇漢字ドリル」のアプリで匂いだけはご勘弁!!ネタにはなるでしょうけれど。。。

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