BLOG

仕掛けは費用対効果を考えよう、口コミスイッチは高くなくても入る

今回も仕掛けを深堀してみよう。松村氏によると、仕掛けの要件を次の3つに置く。

 

  • 公平性
  • 誘因性
  • 目的の二重性

 

「公平性」とは、仕掛で誰も不利益を被らないこと。騙して落とし穴に落とすような方法はアンフェアだ。「誘因性」とは、行動を誘う仕掛けのことであり、脅迫して行動を強要することはダメだ。あくまでも消費者の自由意思で選ばせることがルールである。そして「目的の二重性」とは、仕掛ける側の目的と仕掛けられる側の目的が異なることである。前回の小便器についていえば、仕掛ける側は「きれいに使ってほしい」、仕掛けられる側は「あの的に当てたい」ということだ。今までのマスメディア管理型社会というものは、このフェアな仕掛けからは縁遠いことがわかる。広告で消費者の行動を洗脳的かつ脅迫的手法でコントロールしていたようにしかみえない。「クリスマスに相手がいない奴は人生の落後者だ」「バレンタインデーにチョコレートを上げられないなんて、ダメ女だ」と、そんな社会的雰囲気をメディアで熟成していたような気がする。最近は、そっぽ向いている人が多くなっているが、それも価値観の多様化やソーシャルメディアの普及によるのかもしれない。

 

あくまでも仕掛とは行動の選択肢を増やすものでなければならない。新たな選択肢が魅力的ならば選べばいいし、魅力的でなければ選ばなければいい。あと行動を強要するのではなく、行動を上手に誘導する。的をめがけなくてもいい、ただ、的をめがけたくなるのだ。松村氏によると面白い仕掛けが他にも示されている。「バスケットゴールのついたゴミ箱」である。公園でゴミ箱がいっぱいになっているのであれば、その周辺にゴミがあふれていても致し方ない面もあるが、ゴミ箱が空っぽなのに、あちらこちらにゴミが捨てられていることもある。ベンチの下など。そこでゴミ箱にバスケットボールのゴールがついていると人々はどのような行動に出るか。バスケットボールをかごに入れるかの如く、ゴミをそのかご目掛けて放り込むようになる。勝手に心の中で、スリーポイントエリア内で3点シュートを決める。外した時にはわざわざゴミを拾いに行ってもう一度トライする、それでもダメならば、ゴミ箱の近くに行って、上からダンクシュートを決める。いずれにせよ、ゴミ箱にゴミを入れることになる。

 

仕掛をするときに重要なことは、うまい仕掛けを作るだけではない、費用対効果も考えておかなければならない。飲食店のコンセプトとして、内装自体を○○ワールドか〇〇ランドのようにする場合もある。そもそも内装工事はお金もかかるし馬鹿にならない。開店当初は物珍しさに集客につながるが、飽きられたら、逆に終わる。次の手を打つにもまたコンセプトを変えて、内装を変えると、さらにお金がかかる。内装費用や告知費用を回収できるかというとかなり疑問だ。制作コストや維持コストも考えて、その場にふさわしい仕掛けを導入しなければならない。

 

費用対効果の視点から考えると、バスケットボールのゴール付きのゴミ箱よりも、小便器の的の方が、より良いように見える。もっとも、最終的にはゴミ拾いを業者に依頼するというコストを織り込んで、どちらが高いか安いかを決めることになるだろう。

 

飲食店において「おいしい」だけではお客に響かなくなった。美容室やサロンでは「施術の良さ」が、他店との差別化につながることが難しくなった。こういった仕掛けの方がお客の口コミスイッチを入れる。美味しい料理や心を込めたサービスを提供したい店側と、サービスはよくわからないけど、面白い仕掛けをシェアしたいお客という目的の二重性がある。でもこんなすごいことをしてくれる店だから、サービスは凄いに違いない、と思うものが顧客心理というものだ。

関連記事一覧