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ニコバーのSNS戦略―ヴァーチャルアロンをリアルでつなげる楽しい空間づくり―

おそらく日本の居酒屋の中で、SNSを最も効果的に使っているのは「ニコバー」だろう。既にフォロワー数が59万を突破している。だからといって、この方式をそのまま真似したほうがいいということではない。個性的なコンセプトが客を呼ぶことは参考になるが、コンセプトが違いすぎて真似ができないことも多い。そもそもニコバーを知らない人も多いだろう。ニコバーとは株式会社飲ミュニケーションズが展開するネット動画バー。全国11店舗(2018年1月末現在。フランチャイズ店2店含む)。ネット動画バーというと何だかわからないだろう。要するにネット上の動画投稿サイトのニコニコ動画を大画面で流し、例えば「初音ミク」の歌う姿を映してみんなで楽しんでいる、そんなバーだ。モニターに映し出されるのは、ゲームの実況中継や深夜の時間帯にテレビ放送されたアニメーションもあるが、著作権侵害になるような動画は流していない。

この店の最大の売りは自分の部屋にこもって一人で見ていたネット動画を仲間と一緒に見て騒ぐ、今まで一人で動画を見ていた人同志をリアルで結び付ける。そこでリアルな友達に発展することもある。オタクが趣味の合う友達作りをするための場所ともいえる。Twitterアカウントはニコバー@話せる居酒屋(@niconico_bar)であり、まさにそこで出会った人とも話ができる居酒屋なのだ。なかなかオタクの話を普通の職場ではできないので、オタクにとっての憩いの場所ともいえる。

定番の楽しみ方まで、サイトに書いてあるのは、初心者としては助かるコンテンツだ。例えば、初級の楽しみ方は、ニコバーのコースターに大きなロゴと『ニコバーなう!』の文字があり、カクテルや料理と一緒に「ニコバーなう!」と投稿しよう、とある。初来店者からすでに店名の拡散に手を貸してしまう仕組みだ。当然、その中からの作品をチョイスして店のホームページで紹介する(みんなの!ニコバーなう!)。

オフ会とも呼べるリアルイベントも目白押しである。ちなみに毎週月曜日はカラオケの日で歌い放題のサービスを提供している。アニソン祭りやゲーソン祭りもある。中級者は、自分企画のオフ会も開けるとか(もちろん店員の許可が必要)、まさにネットを通り越して、リアル参加型の居酒屋であるといってよい。さらにニコバーでツイキャス等の生放送配信もある。そのうちニコバーから人気アイドルも出てくるのではないだろうか。芸能プロダクションのスカウトマンも来そうだ。

Twitterではいわゆるフォロー&リツイートキャンペーンと言う使い方はしていない。あくまでもイベント告知、お客のツイート(例えば「ニコバーなう!」)に対するリツイートがメインだ。ニコバー通信などの配信動画はツイキャスを使っている。

ちなみに各店舗ごとにTwitterアカウントを持ち、食べ放題イベント、新商品イベントなどお得情報を配信している。店舗ごとの特別メニューがあり、ニコバーのファンは全国のニコバーでご当地のメニューを楽しむことができる(出張帰りに地方のニコバーを楽しんできたというサラリーマンのツイートもある)。

また、LINE@のポイントをためるとニコバーのオリジナルグッズや割引サービスの他、ポイント数によっては1日飲食代がタダになることもある。またLINE@公式でしか読めない漫画も配信。

料理はそれほど特別のものはないが、ミクトニック(初音ミクにちなんでジンベースのミント味のカクテル)は名物。オムレツにnicobarとケチャップで書いてくれるサービスもある。これもSNS映えだ。

ちょうど店のコンセプトとユーザー層がSNSのユーザーと完全に合致しているため、効果的なSNS戦略は立てやすい。まさにSNSならではのコスパの高い認知拡大戦略である。たくさん自社からもフォローしまくっているという地道な努力もあるが、正直脱帽だ。

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