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短期的に拡散しやすいクチコミと長期的に拡散しやすいクチコミは別物

クチコミには、短期的に効果が見込めやすいもの、長期的に効果を発揮するものの二つがある。この両者をバランスよく組み合わせることが必要だ。創業したては、短期的に効果の上がるクチコミ戦略(以下、「短期クチコミ戦略」)を優先し、同時に長期的に効果を発揮するクチコミ戦略(以下、「長期クチコミ戦略」)を仕込んでおくことが重要だ。

経営は終わりなきマラソンのようなもの、もし、店主が引退するときをマラソンの一つのレースのゴールとするならば、ゴールまでのペース配分を「長期クチコミ戦略」で続け、ときおり、競合店を意識して、あるいは短期的な顧客増を狙って仕掛けることを「短期クチコミ戦略」と考えればわかりやすい。

長期クチコミ戦略に何よりも必要なことは、一にも二にも「コンセプト」だ。そしてコンセプトを作るあなた自身がいかに強力な磁場(客を引き寄せる力)を作ることができるかにかかっている。小学校の理科の授業を思い出してみよう。平らな紙に砂鉄を散らばせ、真ん中に磁石を置くと、磁石を中心に砂鉄が模様を描く。砂鉄一つ一つが顧客であり、フォロワーでもある。砂鉄一つ一つは全く磁力を持たないが、磁石であるあなた自身の磁力を、近くの砂鉄へ伝えていくかのように、模様を描いていく。

結局のところ、コンセプトとは客と店をつなぐ絆であり、「あの店にまた行ってみたい」と思わせる動機のことである。一言でいうと「客にとっての居心地の良さ」であるが、具体的には、スタッフに会えると楽しい。愛情をこもった料理を頂けて幸せな気分に浸れる。店もスタッフもいつも清潔感にあふれて、清浄な気持ちになれる。健康に良い食材を使っている。スタッフ全員が生き生きしている。あんまり店や経営者、スタッフがお金、お金していない。お客へ、色々な意味で利益を還元している。そんなコミュニティこそが、飲食店に目指してほしい姿である。

もっともここで示した「居心地の良さ」は自分基準で決めたものだ。正しいとか間違っているかを議論するつもりはない。例えば、経営者も店もスタッフもみんなギラギラしていて、この店に来ると、なんか自分も銭金運気を貰えて、儲かりまっせー、みたいな店は、ある人には居心地が悪そうに見えるが、別の人からすれば居心地が良い風に感じる。全て個人の価値観の問題だ。これは全てコンセプト次第である。そういうコンセプトを好む人たちの磁場というのはあるはずだ。

まず長期的な「コンセプト」をベースにおいて、コンスタントなペースを刻むが、ペースが思ったよりも上がらないとき、ここで競合店に差を付けたいときには、仕掛けが必要だ。それが「短期クチコミ戦略」である。

「短期クチコミ戦略」に必要なことは一にも二にも「話題性」だ。当然、コンセプトを毀損しない程度の話題性にしたい。むしろコンセプトを強化する話題性が望ましい。話題性になりやすいものとは、前回でも記述したが、サービスに特色があるか、お店の雰囲気が独特か、窓からの眺めは良いか、ロケーションが優れているか等である。美味しさは二の次である。TwitterやInstagramのようなSNSは「短期クチコミ戦略」に有効なツールである。もっとも店は、店に仕掛けをするというだけで、クチコミを広げてくれるのはお客様、そのお客様の用いたハッシュタグや店やサービス(メニュー)の画像が店の話題性を拡散させるのである。

クチコミを広げてくれるのはお客さまだが、自然発生に期待していてはいけない。クチコミのネタを仕掛けるのも店の役割と心得たい。消費者は店が思っている以上に、消費者本人が優越感を感じるためのシェアするネタを探しているのだ。

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