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視線の心理に見る、店前での効果的なお客の誘導法

以前、駅前で、チラシを配った経験がある。最初は配る人を凝視してチラシを配っていたのだが、ほとんどもらってくれる人がいなくて苦労した。そのうちアルバイトに駅前でリフティング(フットサル)をさせて、「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい」みたいな感じでチラシ配りを始めたが、リフティング大道芸には関心持ってくれても、チラシの方はさっぱり(そのあとお巡りさんから怒られた)。

チラシを配るのが上手い人はどうしているのかな、と観察すると、チラシをもらってもらいたい人の往来を妨害しないように、相手のリズムに合わせて、すーっと渡している気がして、それを自分が真似したのだが、今一つ。配布率を高めるためには、ティッシュと一緒に配るといいという。それは確かだろう。自分もティッシュの場合は、わざわざもらっていくこともある。ただ、その中に挟んである広告を見ることはほとんどない。配布率が上がりゃあいいってもんじゃない。

そこでちょっとやり方に自分なりのアレンジを加えてみた。右側から人が来たときに、右側の人と視線を合わせると逃げていく、これは予想通り。そのときすかさず、左側から歩いてきた人(元々配りたいと思っていたターゲット)に、その人の歩幅とリズムに合わせて、手渡すと、結構受け取ってくれる率が高まったような。まあ、あくまでも上手くいった気がする、くらいな程度だが。

この行動には、心理学的にみると、実は意味があった。人の往来の多い道で、知らない人とすれ違った時にあなたはどうするか。すれ違う人とは視線をそらす。人と人とがすれ違うときにはお互い視線をそらして、視線の方向に人は歩いていく。右をみながら真っ直ぐ歩ける人はいない。

そこで、自分の店に誘導するときにたいてい自分の店に背を向けて、店頭に立って「寄ってらっしゃい」としている呼び込みが多いのだが、それだとあなたから視線を外すために、道の逆の店が目に入る。なので、あなたは自分の店に対して正面を向き、自分の店の反対側に立ち、にこっと笑顔で「寄って行ってくださーい」とすると、自然と、道行く人はあなたの視線からそらそうと、呼び込みとは逆側のあなたの店を見ることになる。そこで美味しそうなメニュー看板でも置いておけば、そのメニューに目が留まる。店の中が見えるなら、道行く人は雰囲気がよさそうかどうかまで視野に入る。おなかがすいてなければまた今度だが、一度あなたの店やメニューが記憶に残っているので、どこかで思い出してくれるかも知れない。多少、あなたの店のメニューに関心があり、おなかがすいていれば、そのまま立ち寄ってくれる可能性が高まる。こういう、本当に売りたいものを売るために人の視線を、売りたいものに向けさせることを心理学的に「視線の心理」と呼ぶのだそうだ。

この方法で呼び込みをしている店は実際に見かける。その店では呼び込みの立ち位置は売り場から多少離れ、往来する人の流れを若干妨げるように立ち、お客が自分の店を見させるように仕向けている。

安い価格帯の大衆料理屋であれば、店内がよく見えたほうが良い。中の様子が見えると安心感が増す。それが人の心理的な入店ハードルを大きく下げることにつながる。

いずれにしても、まずお客にあなたの店やメニューを見てもらわなければ始まらない。自分を犠牲にして(別にあなたのことを見つめてもらわなくてもいいでしょ!)、自分の店の利用客が増えればそれでいい。もっとも、逆に眼力で人の視線をくぎ付けにできる才能の持ち主もいるかも知れない。当然、自分のやりやすいやり方でお客を呼びこめばよい。呼び込みに上手くいかないと思っている店主はご参考まで。

インド人かパキスタン人が営むカレー屋で、昼前に店の入り口のところで待機して、道行く人を「入れ、入れ」と言わんがばかりに突っ立っている店員がいるが、あれはどうも逆効果にしか思えない。日本人よりもお目目が大きいし、余計に入りづらい。目が大きいと視線もより感じやすいのかも。

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