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加賀屋こそリアルTwitter、一人のお客の後ろに何万人ものお客がいる

和倉温泉の加賀屋をご存じだろうか。石川県の誇る超優良企業であり、1977年から旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の総合部門1位として36年連続で1位を連続受賞した。ところが2017年度(2016年12月11日発表)で3位に転落、まさに衝撃的だったが(おもてなし部門では堂々の1位)、2018年度(2017年12月11日発表)では1位にさっさと返り咲いてしまった。「加賀屋は伊達じゃない!」。知っている人からすればとても一言では言い表せないのだけれど、わからない人のために一言でいえば、まさに「おもてなし」の代名詞の旅館と言える。

加賀屋はTwitter、Instagram、Facebookのアカウントをそれぞれ持っているが、Twitterは2016年11月25日を最後に、現在のところ(2018年4月現在)更新はされていない。ターゲット層が大幅に異なるためだろう。どう考えても「加賀屋なう」とか「加賀屋ギガワロスww」とか、そんなことをツイートされるようなイメージは全くない。利用者層は落ち着いた方々だ。例えば、自分がちょうど加賀屋に伺った時には姉妹館「あえの風」で郷ひろみのディナーショーをやっていたので、まあ、そういった年齢層なんだろうなと妙に納得する。

それでもアカウントの開設当初は、担当者もいかにツイッターでおもてなしをしようか、試行錯誤をしていたとお見受けする。例えば「〇〇様、なんとか対応できないか。最大限誠意をもってトライさせていただきますが、お断りせざるを得ないケースもございますので、ご了承くださいませ。「ありません」「できません」は絶対に行ってはいけない伝統と持つ老舗旅館・・・」というツイートもある。

また、「能登半島って加賀屋があるところだっけ。一度行きたいなあ。」というツイートに対して、「〇〇様、冬の金沢と能登半島も風情があります。またブリ・蟹・牡蠣とおいしい冬の所在が満載の時期となっております。お越しをお待ち申し上げます。」と丁寧に返信している。その他はほとんどが加賀屋ブログへの誘導ツイートになっている。

また、Instagramでは、旅館ながらでの風景画、人物画をアップしており、雰囲気を味わえるようになっている。

Facebookは更新も頻繁だ。フェアの紹介やら、新春おせちは動画で配信している。おせち料理については、只今準備中というコンテンツも写真付きで発信していた。Facebookは高い年齢層でも使っているSNSである。最近の若者は、Facebookは会社の上役との付き合いのために仕方なく使っている、というコメントもあるくらいだ。そして、加賀屋はFacebookではお客とのやり取りを積極的に行っている。海外からのお客様にも対応してるので、Facebook上で英語や中国語でのやり取りも発生している。

このように、Facebookは積極的に、Twitterはしばらくおざなりにではあるが、それはターゲット層を考えてのもの。だが侮るなかれ、次に加賀屋の神髄が現れている。和倉温泉の加賀屋の女将である小田さんは、「私は頭を下げるとき、目の前にいるお客様の目に見えないけれど、その方の後ろにいらっしゃる大勢のまだ見ぬお客様にも挨拶している。加賀屋でいい一日を過ごせたお客様は、きっとご友人やお仲間を紹介してくださる。」(『加賀屋の流儀』細井勝著)と語っている。「目に見えないけれど、後ろにいらっしゃる大勢の・・・」。これこそリアルTwitterではないか。目の前のフォロワーの後ろにはそのフォロワーのフォロワーも含め、何千、何万のフォロワーが待ち受けているのだ。半世紀近く前から、加賀屋の魂はTwitterそのものだったのだ。目の見えない大勢の方を意識して、目に見えるお客様に全力を尽くす。

飲食店は加賀屋から学ばなければならないことがたくさんある。オーナーも店長も、そしてスタッフも一度勉強のために加賀屋を訪れるべきだ。そこでおもてなしの何たるかを知ることになる。加賀屋は施設の良さといい料理だけを提供しているだけの旅館ではない。スタッフ一人一人に根付くおもてなしの心だ。それが他の旅館と加賀屋を差別化している大きな要因である。いい料理や宿を提供するだけでは、ここまで愛される旅館にはなっていない。飲食店のオーナーは肝に銘じよ。今すぐ加賀屋で客の立場で修業してくることをお勧めする。

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