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「あからさま」と「ほのめかし」にみる、消費者意識を販促につなげる

二枚の写真があるとする。一枚目はカップルの写真、二枚目はテーブルに二つのコーヒーカップが見える写真。一枚目は、あっそう、ふーんくらいな感情、中にはリア充しやがって気に入らねえ、みたいなネガティブ感情を起こす人もいるかもしれない。でも二枚目は、誰とコーヒーをしているかどうかわからない。ひょっとして友達かもしれない。彼女か彼氏か?後者の方がはるかに受け手の想像力を掻き立てる。(受け手)「誰と一緒にいたの?」(発信者)「ご想像にお任せしまーす」だ。

グルメにおいても、何を食べたかというよりも、こんな美味しそうなものを、ステキなものを、変わったものを、食べたあたしって良いでしょ?という「羨ましいでしょ」体験を拡散する。そこでは、常にシェアすることを前提として、他者の視線をイメージしながら撮影し、SNSにアップしている。

相手に堂々とアピールするのではなく、受け手の「本当はどうなんだろう。あんな感じかな?」という気持ちを駆り立てる方が拡散しやすい。そりゃあ「他人のリア充しやがって!」をそれ以上喜んで拡散する奴はいない。つまり、あからさま(明示的)よりもほのめかし(暗示的)の方が、拡散しやすい。ほのめかしは発信者の気持ちの余裕さえ感じる。

二枚目の「二つのコーヒーカップが並んでいる写真」は、発信者のリアルがわからないが、受け手が勝手に想像を膨らませ、あることないことが頭の中を駆け巡り、羨ましい感情を引き起こすものだ。イギリスの小説家であるジョン・バージャー(John Peter Berger)が、「ビジュアルコミュニケーションとは憧れを喚起するものだ」という言葉を残している。まさしく「いいね!(Like)」という感情を喚起させれば、それは拡散する可能性が高まるということだ。

発信者が見せること/見せないことは、受け手にとって見えること/見えないことの違いとなるが、この差は大きい。

もっとも、物の売り手(飲食店)が物やサービスの画像(飲食店の場合にはメニュー)をぼやかして見せた方が良い、と言っているわけではない。ここでいうところの「あからさま」や「ほのめかし」の議論は、消費者レベルが、自分の体験を拡散するときの心理に過ぎない。以前は、雑誌等で袋とじをチラ見せさせて、販売させることがよくあった。チラ見が購買意欲を高める例である。しかし、飲食店のメニューは、魅力を余すところなく、ビジュアルと文章で伝えるだけ伝えてもよい。なぜならば、食べなければ、それは全部見た、知ったうちに入らない。メニューを画像で見せていること自体が、飲食店にとっての一種のチラ見マーケティングになっているからだ。後はいかにシズル感のあるメニュー画像を、ユーザーのおなかがすいていると思われる時間に発信できるか。おなかがすいていないときには食欲に訴えかけることができないので、美味しさ以外の目的を持たせる何らかのイベントが必要だ。

例えば、販促の一環として、メニューの写真の一部を隠してクイズ形式にし投稿させ来店につなげる等、キャンペーンに結び付ける手法はあると思う。もしくは、投稿した素材を抽選で使った料理を本当に出す。本当はイクラと使っているのだが、誰かが#キャビアと投稿してきたときに、お遊びで来店したら、キャビアを載せました!みたいな企画である。実際にキャビアだったものをイクラと言ってしまった場合は、メニューをパワー(グレードだね)ダウンしたら。ということになるかも。さっそくメニューがパワーダウンしたらどうなる!とかいうことをツイートして客からのアイデアを募ろう。

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