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SNS時代における「食」の意義を再考する

「食」とは何なのか。つまり「食」の意義であるが、最も単純な答えは我々の「生命活動の維持のため」といえる。食べて栄養を取らなければ生きてはいけない。そのため、不治の病の者が食を断つことで、自らの死期をコントロールする考え方もあるし、家庭虐待で親から十分に食を与えられず命を落とす子供もいる。しかし生命維持というだけならば動物と変わらない。そこに人間としての「食」とは別の意義があるはずだ。

幸せのために食べるというと、それは回答の一つだが、食とつなぎ合わせたときの「幸せ」の定義が問題になる。少なくとも「幸せ」が「健康」と結びつかないことは確実に言える。なぜならば生活習慣病の多くは必要以上に食しているために起こっている。どうやら現代の食は「食通が美味しいと言っている」「みんなが美味しいと言っている」「グルメサイトに美味しいと書いてある」とか、「情報」によって生命維持に必要以上の質や量の食を取っているように見える。さらに言えば、健康とは逆方向の「快楽」や「美味しさ」を単に刺激する(ジャンキーで高カロリー)ものを好んでいる。好まされているという方が正しいか。

空腹は最大の調味料とはよく言うが、誰と食べるかも最大の調味料と言える。会社の上司と飲む酒ほどまずい酒はない。家族と食べるのは最大の調味料か、といえばある意味正しく、ある意味で首をかしげることもある。最近、サザエさん一家のような、ほのぼのした一家団欒というものは幻想に近い。家族の生活の維持のため、夫婦共働きが現実で、おふくろの味なんてものも古き良き時代のものだ。レトルト、冷凍食品、お惣菜が朝食から並ぶ(家庭が多い)。専業主婦の家庭でも、夫婦喧嘩があれば気まずい食卓もある(浮気がばれたら食卓どころでもない)。

さて、そこで「どんな食事が生活を豊かにするか」について、新日本スーパーマーケット協会の「消費者調査2016」のデータを見てみよう。
(図1)

出所:新日本スーパーマーケット協会の『消費者調査2016』

この図によれば、「家族そろっての食事」「友人・知人と一緒の食事」「誕生日等イベント、特別な日の食事」が上位に来ている。これは一言でいえば人との「つながり」が「生活を豊かにする」ということに他ならない。つまり、「食」は人との「つながり」を築く触媒(カタリスト)になるということだ。

もう少し踏み込めば、SNSという人とのつながりに価値を求める世界と、つながりの触媒となる「食」はリンクしている。家族そろっての食事は、家で取る、これは基本だが、上の3つを飲食店で提供すればどうか。また、食を提供する「飲食店」は、人と人とをつなぐ触媒になりえるのだ。食というコンテンツとSNSというネットワーキングツールを使うことはこれからの時代、まさに成功の方程式ではないか。

さらに、この図によれば「お店の雰囲気がとても良いレストランやお店での外食」「評判の良い・人気のあるレストランやお店での外食」も多い。何度も言おう。「生活を豊かにするのに「美味しい」食を食べる」ことは全くランクインしていない。「お店の雰囲気」「評判や人気を上げる」ことに注力すべきことは言うまでもない。

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