BLOG

江戸時代のレシピを参考に、温故知新で魅力的なメニュー開発を

「銀平飯科帳(原作:河合単さん)」という漫画があります。ブログ記載の時点で6巻まで発売されています。まだ継続中です。さて、この漫画、現代で居酒屋を営んでいる主人公が、店に閑古鳥が鳴いていて、今後どうしようか、店を閉めようか悩んでいた時にタイムスリップして江戸時代にさかのぼり、江戸時代の料理を現在に生かして創作料理の繁盛店になっていく物語です。

主人公が江戸時代で行動を共にするのが鬼平犯科帳の主役、長谷川平蔵(鬼平)の子孫という設定。そして犯科帳は判決記録ですが、飯科帳は江戸時代における外食料理店のランキング表(グルメマップでもある)で、この飯科帳を主人公が江戸時代の相棒と食べ歩いて作り上げ、その過程で江戸時代の料理を現代の居酒屋に生かしていきます。まさに温故知新。古きを求めて、そこから新しいものを生み出していくのです。

「古きよきものをアレンジして今に伝える。それが創作料理のだいご味。」と登場人物(主人公の古くからの友人)に語らせています。

参考になるエピソードをいくつか紹介しましょう。

居酒屋で締めにラーメンを作ったら友人たちに微妙だなと言われ、江戸時代へ行き、火消し飯をヒントとして現代に持ち帰ってくる。そして締めに現代風のアレンジを加えながら火消し飯を出す。この料理は胡椒を加えてご飯を炊き、それにかつおだしのスープをかけて食べるもので、胡椒が火薬のように見えて火を付けるんじゃなく、スープで消すから火消し飯という名前で呼ばれるものです(第1巻)。

主役の料理を改善するのではなくて、脇役の料理を見直すだけで、売り上げが伸びる(お客様に感動を与える)かもしれないというエピソードがありました(第2巻)。これは父の代から受け継いだカレー屋の客足が遠のいた理由は、甘酢漬けのラッキョウの味が変わった(父の代は母が漬けていたが、自分の代になって妻が漬けるようになった)から。それは主人公が、ねぎま鍋(トロとネギの入った鍋)を最初はマグロ(トロ)が主役だと思い、トロはあまりおいしくなかったが、実は脇役だと思ったネギがトロの脂身を吸収して、とても美味しいものになり、ねぎま鍋の主役はネギだった、というところから着想を得ます。

江戸ダック。合鴨をオーブンで焼き、醤油、蜂蜜、みそ、甜麵醬のたれで味付け。さらに鴨の半熟の煮卵も巻く。北京ダックならぬ、親子江戸ダック。

江戸風タルタルソース。通常、タルタルソースはマヨネーズにきゅうりのピクルスやゆで卵等を細かく刻んで加えたものだが、ピクルスの代わりにぬか漬けを使って隠し味に醤油を入れたもの。これは天ぷらにあう。ぬか漬けを使ったためにマヨネーズを使っても和食の味に収まる。

雷雲豆腐。江戸の料理に雷豆腐があり、それは豆腐を手で崩して油で炒め、醤油で味付けしたシンプルな料理。そこに大根おろしを雲に見立ててたっぷり添えたもの。

と、色々書いていくと、漫画の中のレシピを全て書いてしまうくらいの勢いです。江戸料理の現代風アレンジという視点で、とても参考になるレシピが目白押しの漫画です。詳しくは銀平飯科帳をぜひともお手に取ってみてください。

その他、写楽の正体は、現代からやってきた三人の美大生だった。あるいはたこ焼きは現代人である主人公が江戸時代で披露したものをアレンジしたものだった。などなど、タイムパラドックスはこの手のストーリーのお約束。読んだ後ミステリアスな気分に浸れていいですね。今後の展開が楽しみなグルメ漫画のうちの一つです。

関連記事一覧