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支援の意思と再建の可能性を評価してもらうことで融資に結び付ける

(概況)

メイン先

与信額:2,000百万円

業種:地場の土木建設業者

 

(業況)

官庁工事主体(約70%)に取り組んでいるが、公共事業の低迷などから受注高が減少し、売上(前期2,000百万円)は前期比横ばいとなっている。当期利益は、バブル期に傾斜した株式投資の失敗による借入負担もあり毎期わずかな黒字(毎期3百万円程度)を計上している。ただし、当該株式等の含み損を加味すると実質債務超過額は多額(800百万円)なものとなっている。当行の貸出金は手貸、証貸とも金利のみの支払いで期日一括返済を繰り返しているなど、元本返済猶予状態である。

 

(自己査定)

当行は、自己査定において、①金利は支払ってもらっていること、②投資株式は全て担保として徴求しており、今後、株式価格が好転した銘柄から徐々に処分して回収を図る方針であること、③長年の取引先であり、当行メイン行であり今後も引き続き支援方針であることから、要注意先(その他要注意先)としている

 

(検証)

一般的に、業況不振、財テク失敗などによる実質大幅債務超過の状態や、実質的な元本の延滞状態に陥っている債務者は、経営難の状態にあると考えられ、破綻懸念先の債務者区分に相当する場合が多いと考えられる。

一方で、金融機関によっては本事例のように、業況が相当悪化している中にあっても、メイン行ということや、長年の取引先であり金融支援を続けていく方針ということにより債務者区分を行っている場合がある。しかしながら、金融機関の支援の意思というものは、債務者の実態的な財務内容や収益性、貸出条件及びその履行状況等をもとに再建の可能性の有無を金融機関として検討した結果得られるものであって、支援の意思のみをもって債務者区分の判断を行うことは適当ではないと考えられる。

したがって検査においては、金融機関側が債務者の再建の可能性の有無をどのように捉えているのか確認する必要がある。特に、中小・零細企業等の債務者区分の判断に当たっては、債務者に詳細な経営改善計画等を求めることは困難な点もあるが、債務者を取り巻く厳しい経営環境を前提に、単に株価の好転のみに期待することなく、有価証券の処理方針や企業再建の可能性について金融機関がどのように債務者の実態を把握しているかについて十分確認する必要がある。その際、重要となる点は、本業の収益力の見通しであり、そのためには、現行の手持ち工事の状況、過去の実績に照らした今後の受注見込等に基づく今後の収支見込を把握する必要がある。また、業況が相当悪化している場合、他の金融機関の貸出金の履行状況についても確認する必要がある。上記のような検討の結果、今後の本業による収益見込や個人資産等を総合的に勘案し、経営再建の可能性が高いと判断されるならば、要注意先(その他要注意先)に相当する可能性が高いと考えられる。

 

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