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資本的劣後ローンを自己資本として評価してもらうことで融資に結び付ける

(概況)

メイン先

与信額:450百万円

業種:食料品を扱うスーパー(4店舗)

 

(業況)

店舗別の業況をみると、2店舗については概ね黒字を達成しているものの、残りの2店舗については、近隣に大手小売店が新店舗を開店した影響を受けて売上が落ち込み、また、店舗取得時の借入負担が重いこともあって、前期末まで3期連続して大幅な赤字、小幅な資産超過の状況となっている。このような状況で、債務者の経営支援を図る目的から、元本返済猶予(250百万円)を行ってきており、当該債権については、貸出条件緩和債権としてきた。この度、同社の経営再建を図るため、同社と協力して、不採算店舗の閉鎖及び店舗建物の処分、全面的なコスト削減措置の実施、営業体制の抜本的な見直し、役員やその親族に対する報酬・給与の制限等を中心とした合理的かつ実現性の高い経営改善計画を策定。本計画にあたり、同社に対する債権の一部(不採算店舗の閉鎖による特別損失計上により今期末債務超過部分の85百万円)を一定の条件(※)を付した債権、いわゆる資本的劣後ローンに転換することを約した。

 

※一定の条件

(a) 資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)についての契約が、金融機関と債務者との間で双方合意の上、締結されていること

(b) 資本的劣後ローンの返済については、資本的劣後ローンへの転換時に存在する他の全ての債権及び計画中に新たに発生することが予定されている債権が完済された後に償還が開始すること

(c) 債務者にデフォルトが生じた場合、金融機関の資本的劣後ローンの請求権の効力は、他の全ての債権が弁済された後に生ずること

(d) 債務者が金融機関に対して財務状況の開示を約していること及び、金融機関が債務者のキャッシュフローに対して一定の関与ができる権利を有していること

(e) 資本的劣後ローンが、その他の約定違反により、期限の利益を喪失した場合には、債務者が当該金融機関に有する全ての債務について、期限の利益を喪失すること

 

(自己査定)

債務者の信用リスクの分析にあたり、転換後の資本的劣後ローンを資本とみなし、経営改善計画を勘案し、債務者区分については要注意先とした。また、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画が策定されていることから、資本的劣後ローン及び残債について貸出条件緩和債権に該当しないものとした。

 

(検証)

本事例において、当該資本的劣後ローンについては、要件を全て満たしている場合、資本としてみなすことができると考えられる。債務者区分については、その財務内容は、資本的劣後ローンを資本としてみなせば、問題がある状況にはないものの、業況については、事業再生が開始されたばかりであり、良好とはいえないことから、要注意先に相当する可能性が高いと考えられる。

また、貸出条件緩和債権の判断に当たっては、資本的劣後ローンを資本とみなすためには合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画の策定が要件となっており、一方でこうした計画が策定されていれば、原則として貸出条件緩和債権の卒業基準を満たすことになることから、貸出条件緩和債権には該当しないものと考えられる。

また、店舗閉鎖が再生の条件となっており、この部分の融資については、実現可能性の高い経営改善計画に基づき、返済が可能となる場合、検討に値することになる。

 

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