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一時的かつ外部的な影響により赤字や債務超過となったことを勘案してもらうことで融資に結び付ける

(概況)

メイン先

与信額:150百万円

業種:水産加工業者

 

(業況)

水産加工業者の業況は、製品のお客さまからの評判の良さもあり、近年の景気低迷の影響もさほど受けず、順調である。以前、地域の村おこしの一環として、地域の漁業者、水産業者が共同出資で地域の水産品を販売する施設を建設することとなった。

当該企業は、地域での世話役という立場もあり、当行からの借入金20百万円と自己資金10百万円を原資に、最大出資者として30百万円を出資している。しかしながら、台風の影響で、出資した施設が壊滅的な打撃を受け、損害保険等の不備もあり、その再建を断念せざる得ない状況となった。その結果当該出資について、減損処理し、当年度の決算状況は、赤字計上(24百万円)を余儀なくされ、債務超過(20百万円)の状況となった。

当該企業自身は台風による影響もほとんどなく、当該施設の売上に占める割合は数%に過ぎず、本業は順調に推移している状況にある。

当行では、水産加工施設の設備資金(80百万円、20年返済)及び施設への出資金(20百万円、10年返済)について融資を行っているが、これらの借入金については、現状正常に返済が行われている。代表者は、当年度の赤字計上は一時的かつ外部的な要因によって、発生したものであるが、本業は順調であり、今後も現状の返済を行っていきたいとしている。

 

(自己査定)

赤字、債務超過の状況であるものの、その原因は一時的かつ外部的な出資金の減損処理によるものであり、現在の債務者の業況は、変わりなく順調であることから、その回復は十分見込めるとしており、債務者区分については、正常先としている。

 

(検証)

当該企業の財務状況のみを機械的・画一的に判断するのではなく、キャッシュフローの状況を重要視するとともに、財務状況についても、債務超過原因や赤字原因などを総合的に勘案して、その上で債務者区分を検討する必要がある。

本事例の場合、当該企業は、本業は順調であるものの出資金の減損という一時的かつ外部的な理由により、大幅な赤字、債務超過状況に陥っているものの、本業である水産加工業は順調であり、また、キャッシュフローの状況も悪化しておらず、今後も当初約定通りの返済が可能であるならば正常先に相当する可能性が高いと考えられる。

なお、一時的な要因(株式売却損、遊休不動産売却損等)で財務状況が悪化した場合においても、本業の業況やそのキャッシュフローなどをきめ細かく検証する必要がある。但し、財務状況の悪化要因が一時的なものであっても、その結果として、本業の業況に直接悪影響が発生したり、キャッシュフローに大幅な悪影響が発生すると見込まれる場合も考えられることから、債務者の状況についてきめ細かく検証する必要があると考えられる。

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