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私財の提供意思を評価してもらうことで融資に結び付ける

(概況)

メイン先

与信額:100百万円

業種:老舗和菓子の製造販売業者

 

(業況)

景気低迷の中、観光客相手の土産物を中心に売上が減少していることに加え、取引先の倒産の影響もあり、3期前から赤字転落、今期は債務超過に陥っている。当行は運転資金(手貸30百万円)のほか、店舗開業資金(証貸120百万円)に融資しているが、業績の悪化から約定返済が困難になったとして、代表者は不採算店舗の閉鎖や取引先の選別などによる黒字化を折り込んだ収支計画を策定し、当金庫に対して店舗開業資金の返済額を大幅に軽減(約50%減)し、かつ最終期日に元本しわ寄せ(当初借入の約50%)とする条件変更を要請し、当金庫も代表者の信用力等を勘案しこれに応じた。なお、代表者は、事業以外の負債は有しておらず、担保に提供していない土地等の遊休不動産(処分可能見込み額ベース)を80百万円程度有している。(当該遊休不動産に抵当権は付されていない。)

 

(自己査定)

当行は、売上の減少に伴う返済能力の低下は明らかであり、今後、短期間で条件変更前の状況に回復する見込みもないと判断されるものの、黒字化を折り込んだ収支計画等を勘案し、債務者区分は要注意先とした。しかしながら、店舗開業資金の条件変更については、担保不動産(処分可能見込み額ベース)で6割保全されており、残りの4割についても、金庫は代表者は会社が有事の際には私財を提供する意思が確認できていることから、個人資産等も勘案すれば信用リスクは極めて低く算定されることから、貸出条件緩和債権に該当しないと判断している。

 

(検証)

中小・零細企業については、不動産担保などに加え、代表者は会社が有事の際には私財を提供する意思が確認できている場合には個人資産等も勘案することができると考えられることから、当該貸出金は最終的な回収には懸念はなく、信用リスクは極めて低い水準にあるものと考えられる。

したがって、本事例のように不動産担保等により保全されていることから信用リスクが極めて低い水準になるものと考えられる貸出金については、条件変更時の貸出金の金利水準が金融機関の調達コスト(資金調達コスト+経費コスト)を下回るような場合を除き、原則として、当該貸出金については、貸出条件緩和債権(元本返済猶予債権)に該当しないものと判断して差し支えないものと考えられる。

なお、本事例のように黒字化を織り込んだ収支計画等が策定されている場合には、条件変更時の貸出金の金利水準が金融機関の調達コストを下回るような場合であっても、収支計画等が合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画の要件を満たしていれば、貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えないと考えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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