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大手企業との取引状況を評価してもらうことで融資に結び付ける

(概況)

メイン先

与信額:300百万円

業種:繊維会社

 

(業況)

繊維会社として、地元では特殊な編物技術を有する中堅会社であるが、中国からの安価な繊維商品の大量輸入により、価格競争の激化から商品単価の引き下げを余儀なくされ、近年、経常赤字の状況が続き、債務超過状況となっている。しかしながら、その技術力は繊維だけに留まらず、繊維以外の商品への応用についても、地元の大手製紙会社との間で、共同で研究開発を行うなど、技術力は高く評価されているところであり、順調に推移すれば2年後に製品の製造も可能と業界誌にも紹介されているところである。そこで継続的な企業訪問や経営相談を通じて、頻繁に接触し、当該企業の技術力についての評価・分析に自信を持っている。また、日々の渉外活動等の充実により、地元の繊維業界及び製紙業界について、十分な情報・分析能力を有しており、当該マーケティング調査能力を発揮し、本件については、商品化が見込まれるとの判断のもと、継続的に当該企業を支援する方針である。

 

(自己査定)

技術力について十分把握しており、商品化後には収益改善も十分見込まれるとして、要注意先としている。

 

(検証)

企業の技術等が十分な潜在能力・競争力を有し、今後の事業の継続性及び収益性の向上に大きく貢献する可能性が高いのであれば、それらを債務者区分の判断に当たっての要素として勘案することが必要である。

本事例のように、業況不振により連続して赤字を計上し、債務超過に陥っている場合、今後、業況回復の可能性が低いと認められるのであれば、経営破綻に陥る可能性が高い状態にあると考えられ、破綻懸念先に相当する可能性が高いと考えられる。

しかしながら、本事例のように金融機関が企業訪問や経営相談を通じた密度の高いコミュニケーションによって、当該企業の技術力を適切に評価・分析していることが業務日誌等から検証され、かつ、その高い技術力によって、今後の業績の改善が具体的に予想でき、さらに、他の種々の要素を勘案し、今後の事業の継続性や収益性の向上に懸念がないと考えられるのであれば、要注意先に相当する可能性が高いと考えられる。

なお、技術力の検討に当たっては、特許権や実用新案権の存在がなくとも、具体的な製品化や大手企業との技術協力等の実態を確認できるのであれば、債務者の技術力の高さを表す事例の一つと考えることができ、将来の業績に対するプラス材料の一つとなり得ると考えられる。従って、こうした技術力については、単に技術力の評価に留まらず、例えば、どの程度の新規受注が見込まれるのか、また、それが今後の収益改善にどのように寄与するかなどといった点を具体的に検討することが必要である。

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