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経営改善計画を下回っているものの十分なキャッシュフローが確保されていることを評価してもらうことで融資に結び付ける

(概況)

メイン先

与信額:200百万円

業種:飲食店(仕出弁当を含む)

 

(業況)

店舗が旧国道に面していることに加え、駐車場が手狭なこともあり、近年売上が減少し連続して赤字を計上し、債務超過状況に陥っている状況にある。当金庫は、改装資金等に応需しているが、前々期に、業績の悪化から約定返済が困難となったとして、債務者から貸出金について返済条件の緩和(3年間の元本返済猶予)の申し出を受けた。これに対し、当金庫は今後の収支計画の策定及び提出を求め、代表者は不採算部門である飲食業からの撤退と仕出弁当への特化による黒字化を折り込んだ収支計画を策定、提出した。しかしながら、前々期は、売上は当初計画の半分程度、また、利益についても黒字化することができず、少額の赤字の状況にあった。前期には、金融機関と債務者が売上の未達成原因を分析し、営業力の不足によるものであるとの判断により、懸命なPR活動と営業に力を入れた結果、売上・利益ともに、計画比で7割程度の達成状況となっている。債務者は、今期に入っても積極的な営業展開を進めており、売上・利益ともに増加が見込めるとし、来年度からは、更なる返済期間の延長が必要なものの、約定返済も再開したいとしている。

 

(自己査定)

前々期に作成した収支計画は前期まで達成できておらず、更なる返済期限の延長が必要なものの、前期から経営改善が進んでおり、今後の経営改善も見込まれ、約定返済も再開することから、要注意先(その他要注意先)としている

 

(検証)

売上減少などにより大幅な債務超過が継続している企業が、経営改善計画等を作成していても、その後の経営改善計画の進捗状況が計画どおり進んでいない場合には、経営破綻に陥る可能性が高いとして、破綻懸念先に相当する場合が多いと考えられる。しかしながら、経営改善計画等の進捗状況の検証を実施するに当たっては、計画の達成率のみをもって判断するのではなく、計画を下回った要因について分析するとともに、今後の経営改善の見通し等を検討する必要がある。

本事例の場合、金融機関が当該条件緩和を実施する際に、起業の今後の収支見込み等を基に返済能力を検討した事業計画等に沿った形で業況が推移していない。しかしながら、前期より売上低迷原因の分析を実施し、即時に改善のための対応を行い、大幅な赤字体質からの脱却が図られている状況にある。今後も仕出弁当部門については、現状程度で推移すると見込まれ、十分なキャッシュフローが確保され借入金の約定返済に向けた動きが見込まれると判断できるのであれば、当初の事業計画等の達成が困難であったとしても直ちに破綻懸念先には該当せず、要注意先(その他要注意先)に相当する可能性が高いと考えられる。経営改善計画等の進捗状況や今後の見通しを検討する際に、キャッシュフローの見通しをより重視することにより、要注意先(経営改善計画は合理的かつ実現可能性が高い)と判断できる場合には、貸出条件緩和債権には該当しない。

なお、中小企業では、企業の規模・人員等を勘案すると、大企業の場合と同様な精緻な経営改善計画等を策定できない場合がある。債務者区分の判断に当たっては、今後の業況見通しや借入金の返済能力の判断について、事業計画の達成状況のみではなく、例えば、本事例のように、事業計画どおり進んでいない原因を分析し、今後の債務者の収支見込等が現実的なものかを判断する必要がある。

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