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経営改善意欲を評価してもらうことで融資に結び付ける

(概況)

メイン先

与信額:350百万円

業種:旅館

 

(業況)

数年前から宿泊地への落ち込みを挽回するために旅館をリニューアルしたが、売上が8割程度に留まっている。現在は債務超過に陥っているが、既存の蓄積で、現在は改築資金の返済は滞りなく行われている。

今後、旅行代理店とのタイアップで宿泊数の増加を図り、人件費等の削減等に取り組み、収益性の改善を図る。

 

(査定)

財務内容や収益性は芳しくないが、現在正常に返済が行われており、代表者の経営改善に向けた意欲を評価し、正常先をしている。

 

(検証)

一般に旅館業は、建物等の多額の設備投資を必要とし、投資資金の回収には長期間を要する。時代と共に変化する顧客ニーズにも対応するために、修繕費も含め、リニューアルは行っていかなければならない。このような業種の特性による設備投資に伴う減価償却負担や、金利負担の状況や今後の投資計画も踏まえつつ、収益性の検討を行っていく必要がある。

本事例では、返済は正常に行われているものの、売り上げの低迷や、赤字、さらには債務超過である現状をとらえれば、正常先から要注意先以下と判断すべき可能性も高い。

しかしながら、減価償却費は実際のキャッシュアウトがないため、金融機関は減価償却費を費用とは見なしていないが、会計上はそれも含めて債務超過になることはありうる。また、借り入れの返済が進めば、金利負担もそれだけ減少していくことが考えられる。

従い、旅行業のような新規設備投資や改築費用の掛かる業種では、表面的な収支や財務状況だけでなく、赤字となった要因や、新規投資計画に沿った収益や、返済原資が確保されているかどうかを検討していかなければならない。

まずは代表者の財政状態、さらなる追加での財務負担が可能かどうか、現在の売上やコスト削減でどの程度の返済原資が確保できるのか、そして、旅行代理店とのタイアップ状況や、その旅行代理店の実績も踏まえたうえで、売上に対する実現可能性の度合いも確かめながら、今後の収益増強策で返済原資が確保可能かどうかを検討し、約定通りの返済が可能であるならば、正常先に相当すると考え、運転資金などの借入要請に対し、検討が進むものと思われる。

 

(参考)旅館業に係る経営力向上に関する指針(中小企業庁)

旅館業については、サービス提供に間接的に関わる業務を効率化するとともに、サービスの品質や付加価値の向上等により顧客満足度を向上させることを通じて、経営力の向上を図る。

 

経営力向上に関する取組内容(一部抜粋)
営業活動に関する事項 ・サービスを提供するターゲット層の明確化

・商圏や競合環境を踏まえた独自の付加価値を生み出すサービスの工夫

・ICTを効果的に活用した割引サービスの実施、インターネット予約・注文の導入

・新しい旅行形態(エコツーリズム等)への対応

・訪日外国人旅行者に対する情報発信や受入体制の整備

・資本力及び経営能力等の経営上の特質の把握

コストの把握・効率化に関する事項 ・管理会計等の導入による自社の財務状況の把握

・売上状況を踏まえた仕入れの管理

マネジメントに関する事項 ・中長期的な経営計画の策定等を通じたマーケティング等の経営戦略の検討

・従業員の勤務管理のシステム化

・食中毒やレジオネラ症の発生等の防止を図るための衛生・品質管理の徹底

人材に関する事項 ・従業員の労働条件、作業環境及び健康管理の整備・改善

・消費者との信頼関係を高める人材を養成するスキーム作り

・女性や高齢者等の多様な労働力の活用

ICT投資・設備投資・省エネルギー投資に関する事項 ・受発注管理、顧客管理等のサービス提供に間接的に関わる業務のICT化

・ICTを活用したサービスの向上、情報発信方法の工夫

・設備・機器の切替えによる労働環境や作業効率、エネルギー効率等の改善

 

 

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