コンセプトシートは店の羅針盤。開業前から開業後も活用せよ

店舗経営はコンセプトが6割だと言われる。どの店でもコンセプトは必要だが、ここでは具体的に飲食店を題材として取り上げる。先日2018年6月2日の顧客分類から、簡単にコンセプトシートを作成する。
<ターゲット顧客>
『情報セレクトネイティブさん』(20代から30代前半)
デジタルネイティブ世代。若いため可処分所得が少なく、将来への漠然とした不安がある世代。サイトやSNS等の情報ツールを使いこなす。リピーター割引は〇。味よりもサービス、おしゃれ感重視。
基本コンセプト:アラサー女子の井戸端会議
ペルソナ :30代OL、独身、年収360万円。
立地条件 :吉祥寺南口 井之頭公園周辺
価格 :1,000円~3,000円程度(安値はランチ平均、高値はディナー平均)
利用動機 :女子会
販促 :Twitter、Instagram、SNSキャンペーン、クチコミ、リピーター重視。
接客 :同年代の主婦、イケメン風の爽やか好青年。さりげない笑顔とアイコンタクト。
店内外環境:オープンキッチン、照明度は明るめ、BGMはピアノ曲やライトクラシック
女子の喜ぶ花や小物
メニュー :コーヒー、紅茶、サンドイッチ、ケーキ等スイーツ、フルーツ、ガレット
料理コンセプト :SNS映えするインパクトのあるケーキやフルーツ。
腹八分目。清涼感。季節感。砂糖の甘さよりスイーツの甘さ、健康。
可愛らしい盛り付け。
ドリンクコンセプト:落ち着く香り、小ぎれいなグラス、ヘルシー。
奇をてらわず、スタンダード。
(料理を注文した)常連客にドリンクサービス。
顧客が決まれば、流れるようにコンセプトができてくる。当然のことながら、コンセプトができればそれで完成、繁盛店まっしぐら、ではない。スタートラインが決まっただけで、実際の顧客の入りを見ながら、微調整をしていく必要がある。
以上のようにコンセプトシートを作ると、経営者が考える、あるべき店の姿をイメージすることができる。来てほしい顧客を明確化できなければ、お客の方も自分が来るべき店と思わない。老人たちがたむろする店に、若いカップルが集まることもない。年齢層や顧客層がバラバラだと、お店の特徴がわかりにくい、いわゆる集客できない店になってしまう。
コンセプトを文章化することで、スタッフへの理解も進む。労働基準法上、就業規則は従業員が見える場所に掲示しておかなければならないが、就業規則なんかよりもよっぽど掲示しておくべき必要があるのが、店の「コンセプトシート」である。店の基本コンセプトはよほどのことがない限り変えるべきではないが、店の内外装やスタッフのお客に対する接し方、メニュー等は、適宜変更していけばよい。コンセプトシートは経営者自らが見直し、記入。変更があったらスタッフへの伝達を怠らないこと。