BLOG

マクドナルドのツイッター黒歴史キャンペーンに見る注意点

SNSに顧客を参加させることが成功のカギというが、企業にとって、顧客参加がいつも願いが叶う魔法の杖のような、素晴らしい手法であるとは限らない。

 

2012年にアメリカのマクドナルドが、「あなたのマクドナルド・ストーリーをハッシュタグ#McDStoriesでつぶやいて」というキャンペーンをツイッター上で立ち上げたことがある。主催者であるマクドナルドとしては、「いい話」をつぶやいてもらおうと思ったはずだ。誕生会にみんなで楽しくマクドナルドを食べたとか、喧嘩をした子供たちが一つのマックフライポテトMサイズを「お前も食えよ」「あの時悪かったな」と言い、一本づつ食べながら仲直りしたとかの美談を拡散してもらうことで、フォロワーが昔の思い出話を懐かしみながらマクドナルドへ足を運んでもらいたい、と考えていたはずだ。しかしこのキャンペーンは、ひどい話のオンパレードになってしまった。

 

「フライドポテトを6か月間置いておいても、普通のポテトのように腐らない。」

「ポテトの中から付け爪が出てきた。」

「マクドナルドに入ったら、二型糖尿病の匂いが空気に充満してて、思わず吐いてしまった。」

 

この真偽について問題にしようというつもりはない。このキャンペーンでの発言の多くは、動物愛護団体やベジタリアン、マクドナルドが儲けていることが気に入らない人の偏見に満ち溢れたものであった(のではないか)。そして、マクドナルドは炎上を鎮静化するためにハッシュタグを使ったキャンペーンを開始二時間後に中止したが、ツイートが止むまでは数か月を要した。

 

ツイッターのハッシュタグ宣伝キャンペーンは、ひどい言い方をすれば顧客一人一人を企業の広告塔に変えているだけ、という見方もできる。顧客の善意が、企業利益のために勝手にいいとこどりをされるようなことがあれば、顧客にそっぽ向かれて、逆に炎上してしまう危険性がある。ヒール役をわざわざ演じる炎上商法は、宣伝のためとして、どちらかというとマクドナルドのようなブランドイメージの良い企業にとっての炎上はマイナスでしかない。

 

だからこそ、顧客の自主性を重んじたり、ネガティブな発言が出ないような環境づくりが必要だ。何よりも、顧客を広告塔として扱うことをせずに、参加することが顧客にとってメリットになることを強調すること。顧客は企業の金儲けの道具ではない。あくまでも顧客は企業にとってのパートナーである。それを忘れて、都合の良いところだけ、顧客を広告塔として利用するのはよくない。下心を押し付けようとする企業は、顧客を思い通りに動かすことはできない。

 

当時フォーブス誌は「ツイッターのユーザーは世界一きれいごとを嫌う人たちだ」と書いた。企業が顧客の発言を思い通りにコントロールすることは難しい。マクドナルドのツイッター黒歴史キャンペーンを見る限り、顧客に自由に言葉を書いてもらうタイプのキャンペーンは控えたほうがよさそうだ。もっともアメリカの事情というものもあるだろう。日本だと、いい思い出をたくさん書いてくれる人が多いのではないか(お世辞で)。それは自分の甘い幻想だろうか?

関連記事一覧