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壁が取り払われれば、そこにビジネスがある

1990年代に入ると、為替・決済システムの変化が加速します。情報ネットワークの構築・運用コストの劇的な低下と、暗号化による信頼性の向上が大きく寄与しています。1994年にネットスケープコミュニケーションズ(ウェブブラウザ開発)が公開鍵暗号方式を用いた通信方法SSL2.0を提唱し、これが高セキュリティ通信プロトコルTSLの先駆となりました。

ネットショップ(インターネット上のオンラインショップ)でクレジットカードが使えるようになったのは1992年でしたが、上記のように通信セキュリティが向上することで消費者向けのネットビジネスは加速度的に拡大します。

イーベイは個人間、あるいは個人と中小企業間の取引ですが、この利用者拡大のためには信用保証と少額決済という二つの壁がありました。買い手は見知らぬ相手にクレジットカード番号を教えたくないですし、銀行振り込みでは手数料がかかります、加えて先払いも不安です。そして売り手側も小さすぎてクレジットカードの審査に通らなかったのです。それを解決したのがペイパルです。解決した点は次の通りです。

(a) 買い手は相手にクレジットカード情報を伝えることなくメールやウェブで決済可能
(b) 売り手はペイパル口座を簡単に解説でき、月額利用料がなく手数料も2~4%と低率
(c) 取引に問題がある場合には送金する買い手保護制度を導入
(d) インターネットを主体とした情報システムに安価にインフラを構築

ペイパルが見知らぬ者同士の取引にあった、「信用」と「少額決済」の壁を取り払いました。ペイパルは203か国の人々をつながる国際的な為替・決済システムとなっています。ちなみにペイパルの決済総額は2016年の段階で約3,540億ドル、イスラエル1国のGDPに匹敵します(約3,500億ドル)。

最新の情報ではありませんが、アリババグループのAlipayは2014年の時点で約5,190億ドルのけ決済ボリュームがありました。これはポーランド1国のGDPに匹敵します(約5,250億ドル)。

ペイパルは2002年に上場した直後にイーベイに買収されましたが、今やイーベイになくてはならない存在になっています。年間66億ドルの利益を生み出す大きな柱になっています。この買収によって、幾度も論じていますがペイパルマフィアを生み出しました。多くの若者たちが被買収企業に安住することなく、次に挑戦する、いわゆるシリアルアントレプレナーを生み出し、それがアメリカのイノベーションを支えているのです。

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