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余白の美、スペースが創造性を生む、同様自分の中の余白も創造性を生む

独創的な問題解決法は、そうやすやすと予定通りに見つけられるものではありません。dスクールの創設者の一人は「創造性にはスペースが大切だ」としています。このスペースという考え方から、創造性を掻き立てるために2つのことを重要な示唆として受け入れることができます。

第1に「スペースに多様な人材が集まる」ということ。あまり日本では一般的ではないかもしれませんが、それぞれ別の分野の音楽家たちが一堂に会し、そこで即興演奏をすると、結構独創的で面白い音楽が生まれたりします。オペラ歌手、ジャズピアニスト、ロックバンドのエレキギター、吹奏楽部のシンバル。こんな組み合わせではどんな曲が生まれるでしょうか。この例は極端ですが、色々な国に色々な伝統的な音楽があって、それぞれの民族音楽の演奏家が集まりセッションということは、海外ではそれほど珍しい話ではありません。そもそもロックの源流はアフリカンビートとアイルランドの伝統音楽と言われています。いわゆるアメリカの大地というスペースでまじりあって生まれたわけです。当然そのスペースにふさわしいものしか集まってこないとは思いますが。

ここで集まってきた知恵を効果的にネットワークするためには、プロセスを明確にし、互いの動きに注意を払うことが必要です。一人が様々な可能性を探っているときに、別の人物が途中で評価したり、ある人物が議論をしたいときに、別の人物が結論を出そうとすると、せっかくのチームが崩壊してしまいます。まずは選択肢を考え、検証し、ある時間では意思決定に集中するなど、チームの作業を明確にすることで多様な思考を一つにまとめることができます。常にリーダーの指示に従うのではなく、タイミングに合わせてそれぞれが自分の強みを発揮すれば、より創造性が高まるのです。

第2に「スペース自体が創造性を掻き立てる」というもの。皆さん日本人でしょうから、日本画はイメージができるでしょう。例えば、葛飾北斎『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』。タイトルだけ見るとどんな絵だったっけ?と思いますが、ザッぱーんという大波が描かれ、右側が空になっている絵です。もう一つは伊藤若冲『仙人掌群鶏図(西福寺)』。これは6枚の金色ふすまに一番右と一番左に木が描かれ、その間に10羽の軍鶏(しゃも)が描かれています。実はご存知の通り、どちらの絵も余白が多いのですね。おそらくこの余白に、我々は何かを感じているはずです。ですからこの名画は名画たりえるのです。洋画は、元々西洋人の中には効率化ということが頭にこびりついているのでしょうか、あまり余白を感じません。しかし日本画は昔から「余白の美」を大切にしています。

日本画や浮世絵には、思い切った余白の使い方をしているものもたくさんあり、その空間のバランスが非常に優れています。絵画においての余白とは、研ぎ澄まされた精神の表現であり、画面に思想的な世界を作り上げる、ともとらえられます。

何でも完璧に仕事をこなそうという方が日本人には多いような気がします。そもそも完璧な仕事には余白(余裕)がありませんから、それが最終形となり、実は味気ないものになってしまうのではないかと思います。

前者は多様なチームが集まるための余白、後者は自分自陣の創造性を高めるための余白です。

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