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飲食店におけるアルバイトに学生以外の選択肢を

2017年10月に格安居酒屋の代名詞ともいえる鳥貴族が280円から298円(税別)へ値上げしたことが大騒ぎされ、その結果、10月の客数が前月比で7%下がったというニュースが出て、もう年末を迎える。忘年会というかき入れ時に、客数が減少しても値上げ分で売り上げがカバーできれば、経営的にはそれでよいとも言える。この原因は、野菜等原材料の高騰、酒税法の改正、そして特にパート・アルバイトの高騰により、販売価格で吸収しきれなかったところが原因という。

飲食店のコスト構造を単純化すれば、材料費、人件費(これを二つ合わせてフード・レイバー(FL)コスト)、地代家賃、その他(水道光熱費、販促費、税金等)となる。理想論としては、材料費25~35%、人件費25~35%、地代家賃ベストは8%、ベターと言えるのは10%、多くても15%、と言われる。これは目安であり、これを超える場合は、よほどの工夫がない限り、閉店まっしぐらと言える(これらコストに関する業界の常識をひっくり返した「俺のシリーズ」は凄い!)。

さて、鳥貴族のコストを有価証券報告書(2017年7月期)を見ると、2017年7月期の売り上げは29,336百万円だが、原材料費も含めた仕入高は32%、労務費を含めた人件費は32.8%、そして地代家賃は7.4%、結果、税引後利益は3.3%となっている。素晴らしくコストコントロールされた、極めて理想的な構造になっている。そして人件費の内訳だが、従業員25.3%に対し、なんとアルバイトに対して74.7%支払われている。

ホリエモンさんやひろゆきさんの対談で、アルバイト代の高騰により、格安飲食店が成り立たなくなると警鐘を鳴らしているが、この数値を見れば、お二方のご指摘の通り、格安飲食店はアルバイトの安い労働力に依存していたということがわかる。

アルバイト代の高騰は、今まで頼りにしていた日本人学生の数が減っただけでなく、思った以上に大変で気を遣う飲食店のアルバイトから遠ざかっていることも一因と言える。そういえば最近、格安飲食店やコンビニに、シニアの方や外国人留学生を多く見かけるようになった。

先日、モスバーガーには80歳のスタッフもいらっしゃるというニュースが出た。直営店50店舗で働くうちの約5%が60歳以上という。ちなみにアメリカ・インディアナ州のマクドナルドでは94歳のお婆ちゃんが現役で働いているとか。50歳の時に勤めだして44年間、もう大ベテランだ。愛想のない若者より、人生経験豊富で気遣いができる老人の方がよいという意見もある。もちろん耳が遠いとか、注文を忘れられても困るが(注文を忘れる料理店は、元々それがコンセプトだから問題ない!)。特にチェーン店が、退職後のシニア層の働く受け皿になってくれれば、社会的にありがたいことである。

ちなみに若者がアルバイトで重視しているのは、シフトに融通が利くこと、できる限りラクで時給が高いこと、そして金銭的な動機だけでなく、楽しく仲間と働けるか、将来の仕事につながるか、ビジネスマナーが身につくか、といった実用的な理由もある。

チェーン店のように同年代の仲間にあふれる、ということは通常の飲食店では難しいが、今までのように単に便利だから若い学生を使うのではなくて、飲食店を目指す修行場として提供すると考えれば、今後飲食店で独立したい人をアルバイトとして一時的に採用することができるだろう。独立したい人に年齢はない。飲食店のオーナーは飲食店を目指す人にこそ、より多くの機会を与えてあげてほしい。飲食店の接客スキルはその他の業種にも転用可能だ、そのように考えれば採用する幅は一段と広がると思われる。飲食店以外でも独立を目指していて、接客スキルと学びたい人にも選択肢を持とう。

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