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偶然を必然に変える能力が、繁盛店を作り上げる

店はお客様と作り上げるコミュニティである。そしてどのように育てるかを決めるのは店のオーナー自身である。ざっくりとしたコンセプトはあるが、店を始めてみて思うのが、最初から順風満帆で行くことはまれで、そもそも立地で思い通りのところに構えられずつまずくかもしれないし(かえってよい結果もあるだろう)、最初のコンセプトが、来店客とのニーズに合わず、客の反応を見ながら日々修正をしていくと、コンセプトが全然変っちゃった、なんてこともしばしばだ。それを思うに、店は人間の成長に似ている。生まれてから、順風満帆で行くこともないし、ましてや子供のころの夢がかなうなんてこともない。人生も店もまさにハプニングだらけだ。

店の成長は、個人のキャリアアップに近い。少なくとも店を始めて(初めの会社に勤めて)、そこから店をどうしていくか(キャリアアップしていくか)。キャリアについて、スタンフォード大学の教育学の教授であるクランボルツ氏が提唱したのが「プランド・ハップンスタンス理論(Planned Happen Stance Theory)」これを日本語にあえて訳すと「計画的偶発性理論」となる。易しく言えば、「キャリアは偶然で左右されることが多く、中にはこんなはずじゃなかったと思うことはあっても、ポジティブに考えれば、いいものになるよ」とそんな感じだ。

ただ川の流れに身を任せていればいいというものではない。自ら積極的に動き、その中で生まれてくる偶然があり、それをポジティブに生かせ、ということがポイントだ。店の損失になるような悪いことも多いだろうが、反省材料にするのも一つである。

クランボルツ氏の考えによると5つの行動指針がある。①好奇心、②持続性、③柔軟性、④楽観性、そして⑤冒険心である。

まず「好奇心」とは、常に何かを発見し、物事を探し求め続けること。次に「持続性」とは、店の閉店になるようなことに負けずに何があってもとにかく店を続けるということ、そして「柔軟性」とは、人のアドバイスに素直に耳を傾けるとか、自分の信念に固執しすぎず、顧客ニーズに対応すること、さらに「楽観性」とは、とにかく物事はすべてポジティブに考えろ、主観的にいやなことであったとしても、客からのクレームは店にとってプラスにもなる。店の苦境は組織自体を強くするということ。そして「冒険心」、これはリスクを恐れず、新しいことにトライし続けろ、ということだ。

このキャリア理論は、雇われ型のビジネスマンであるサラリーマンだけのためでなく、独立したビジネスマンである飲食店の経営者にも教訓になる。

店を当初のコンセプトに無理やりはめ込まなくてもいい、コンセプトの概ねの方向性があればそれで充分である。店を経営していく中で、偶然の出来事や偶然の出会いがあり、その偶然を必然に変えていくのは店の経営者自身である。後悔しても仕方がない。今、激動の変化の時代を迎え、そもそも社会が、もっと身近なテーマとして飲食業界や人の食生活が今後どのようになっていくかは想像できない。だからこそ、偶然の、嵐吹き荒れる荒海をボロ船で航海し、一瞬の雲の裂け目から見える光を、自らの成功という必然に手繰り寄せていく「何事も決して諦めない意気込み」が必要なのである。

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