BLOG

大規模チェーンストアという、一世を風靡したビジネスモデル

2010年12月アメリカの老舗スーパーであるA&P(ザ・グレート・アトランティック・アンド・パシフィック・ティー)が米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当:チャプター11)の手続きを行いました。そして百貨店「シアーズ」などを営む米小売り大手シアーズ・ホールディングスが、ニューヨーク南部地区破産裁判所に米連邦破産法11条の申請をしました(2018年10月15日)。かつては全米最大の小売企業の一つでしたが、米アマゾンなどネット通販の急成長やディスカウント店の攻勢に押され、赤字経営が続いていました。

日本でも百貨店は赤字体質になってしまいました。スーパーマーケットもそれほど儲かるビジネスではなくなっています。コンビニエンスストアは本部はぼろ儲けでしょうが、所詮は店舗オーナーに無理を強いている結果でしかありません。小売りはネットショップ(アマゾンや楽天)の一人勝ちの様相さえ見せています。

まず大規模チェーンストアというビジネスモデルを概観してみましょう。A&Pは1859年にジョージ・ギルマンがサイドビジネスとして輸入茶葉の販売店を始めたのがその始まりです。会社名の最後にティー(紅茶)となっているのはその名残です。さて、従業員立った一人の店で、当時とても効果だった輸入茶葉を大量仕入れして、仕入値を下げ、さらに通販や広告を活用し、大量低マージン販売をすることで低価格での販売を実現しました。当時の価格で3分の1までの安売りを可能としたようです。

その従業員であったジョージ・ハートフォードがその後経営権を握り、本格的なチェーン化を推し進めました。これが現金持ち帰り型の新業態「エコノミー・ストア」の誕生です。ハートフォードの息子が1912年に新業態を採用し、実験店を出し、徹底したオペレーションの簡素化・標準化を試みました。それは次のようなものです。

(a) 現金持ち帰りのみ(つけ払い・配達はしない)
(b) 電話応対はしない
(c) 店舗は600平方フィートの小型ワンマン店(マネージャー1名と補助店員1名)
(d) 商品を300品目に絞り込み、常に売り上げをチェック

今のチェーンストアというよりもコンビニエンスストアの走りのようにも見えます。これらによって商品の販売価格は10%削減でき、少数品目の大量・高回転販売が可能になりました。そして店舗オペレーションが単純になったことでマニュアル化でき、熟練労働者に頼る必要がなくなり、人件費の削減や店舗展開の容易さにつながりました。このようにしてA&Pは1927年には1万5,671店まで拡大。売り上げ規模は食料品売上総額の14%を超え、食品チェーン店としては断トツの一位。以下の2~8位を合計してもA&Pの売上総額には届かないような、まさにガリバー企業となったのです。そうなるといよいよ、低コスト化、低価格化、大量販売、他店舗展開、そしてさらなる仕入れ力の向上という好循環スパイラルを生み出していきました。

関連記事一覧