BLOG

おいしくて安い中食を相手に、外食産業が生き残るためには

平成27年の外食産業の市場規模は、25兆2,000億円で前年比2.2%とわずかに増加(公益財団食の安全・安心財団「外食産業市場規模推計」)。スーパー等の惣菜市場は同年9兆5,881億円(一般財団法人日本惣菜協会「惣菜白書」)。特筆すべきは平成20年では8兆541億円であったものが、7年で1兆5,000億円も増加している。惣菜弁当の小売市場は7兆1千億円。ちなみに平成20年では6兆800億円であるから7年で約1兆円増加したことになる(公益財団食の安全・安心財団同推計)。また、規模は小さいながらも家庭用冷凍食品の平成27年の市場規模は2,944億円。平成20年は2,415億円であるから500億円の増加ということになる。

これらのデータを見るかぎり、惣菜や冷凍等のレンジでチン市場は物凄い勢いで伸びているということだ。少子化による人口減少が今後も進む中で、日本人全員がお相撲さんにならない限りは、ただでさえ食市場の規模は縮小していくわけだから、この市場規模の傾向を見る限り、外食が中食に侵食されていくのは火を見るよりも明らかといえる。

外食の市場規模が全体的に伸び悩んでいるのは、外食産業全体の値下げ圧力にも一因があるだろう。平成22年10月をピークとした人口減少については(平成22年の国勢調査によると1億2,806万人)、今後、じわじわとパンチブローのように影響が出てくるに違いない(ちなみに平成29年1月の人口は1憶2,686万人)。そもそも未婚者の増加や出生率の減少の傾向に見えるように、独身者の増加、現状においても共働き世帯の増加により、家で料理をする世帯が減少しているわけで、必然的に内食率は減少する。それが外食率や中食率を引き上げることにつながるが、中食の市場規模は拡大しているものの、外食の市場規模はそれほどではない。

外食市場が拡大せず、中食市場が拡大してきた最大の理由は、「惣菜・弁当や冷凍食品がものすごく美味しく、中食で十分」なことだが、その他は給料が増加せず、可処分所得が増えないため、食費を増やせないこともある。独身世帯では、どうせ一人だからといって、わざわざ自炊はしないし、取り置きや日持ちのことを考えると、廃棄リスクもあり、自炊がかえって負担にしかならない。

経済学で少し難しい言葉に「エンゲル係数」というものがある。これは「家計の支出に占める食費の割合」のことだが、総務省が2017年2月17日に発表した家計調査速報によれば、エンゲル係数は25.8%となり、1987年以来の29年ぶりの高水準となった。この要因は食品価格の上昇(要するに肝心な物価だけは上昇している)や、共働き世帯の増加で調理食品の購入が増えたこととされている。家計支出のうち食費の割合が高い、衣食住のうち、人間として最低限必要なものがそのうち「食」だろうが、日本人を平均すると、主要先進国の中では思った以上に裕福ではないということだろうか(もちろんアフリカのように下を見たらきりがないが)。

ちょっとした飲食店で外食をすれば1,000円を超えてしまうこともあるが、中食であれば1,000円超えずに腹いっぱいになれる。同じ外食をするにしても、ファミレスやチェーン店であれば、たとえ使っている肉が廃棄肉であり、化学調味料をバンバン使いまくり、内情は家畜のえさ並みの食事であろうと、安値で懐も痛まず、美味しいものが食べられる。それで十分じゃないか、となる。安いからには理由があるだろうと普通は疑いもしない(疑ったら最後、食べられませんよー)。

このような状況下でファミレスやチェーン店でもない飲食店が生き残る道は、「安さ」ではなく「付加価値」を提供し、「安さ以外での顧客満足」をどう提供できるかを改めて考える必要がある。キーワードは「特色」と「ターゲットの再設定」にあると思うが、また別稿にて論じることにしよう。

関連記事一覧