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モノからコトへ。飲食店もモノ(食)ではなくコト(体験)を提供せよ

日本では高度経済成長期を終え、さらに人口減少が始まり、人口ボーナスによる景気向上というシナリオが難しい時代になった。概ね、家庭に家電製品が揃い、モノの充足感は平均的に満たされている。このような経済状況下においては、モノの消費ではなく、体験としての「コト消費」が重要なキーワードとなってきている。「モノ消費」を「商品・サービスの機能に価値を感じて使うこと」とすると、「モノ消費」は「商品・サービスによって得られる経験に価値を感じて使うこと」となる。

モノからコトへの変化は、国内市場の成熟だけでなく、株価と物価は上昇すれども賃金の増加に結び付かない(資産価値が上昇する人は一握り、大半が可処分所得の減少)、さらにはあまりにも不安定な将来に備え、現在の消費に気持ちが向かず、いかに金をかけずに、できる限り豊かな生活を享受するか、あるいはある程度金をかけるならば、より精神的に充足感を味わうための消費行動を取るようになる。

正直、残業続きで休日出勤を求められる会社に縛られるよりは、薄給でも自分の時間を謳歌したい、そんな選択肢も決してあり得ないものではなくなってきている。それが可処分所得の減少にさらに拍車をかけることになる。

モノを所有することに価値があるのではなく、使っていらなくなったら、即転売、車を所有するのではなく、レンタル、あるいは使用に応じて金を払うようなUberのサービスも「モノからコトへ」で説明可能だ。あまり考えたくはないが、自動車産業が日本人の雇用を支えてくれなくなる時代もやってきてしまう、と思っていた方がいい。

経済的な側面を多く語ったが、例えば、飲食業の観点で見れば、「食べる」だけであれば「モノ」消費、「食べる体験」とすれば、初めて「コト」消費に結びつく。腹に入ればいいならば中食で十分、サービス等、飲食店に来なければ体験できない満足をお客様に提供できない飲食店はつぶれる以外にはない。

SNS自体も体験消費を加速するものと言える。休日にカフェに行く理由というのは、極端な話、そこにパフェという「モノ」を食べに行くのではなく、SNS映えする今話題のパフェを食べるという「コト」を獲得するため、あるいは自分が情報発信主体となって、満足体験を得たいだけであったりする。

「モノ」をシェアするのではなく、体験という「コト」をシェアしている。それがSNSの現状と言える。これは、単に情報メディアとしてのTwitterやInstagramの機能がそうさせただけではない。「モノからコト」という変化の中で、TwitterやInstagramが生まれ、そして、活用されているのだ。

「モノからコト」への流れを見落とせば、それは飲食店にとって致命傷になりかねない。「コト」を充足させるために、「モノ」が媒体となっている、そんな時代なのである。

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