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国際的な為替・決済システムの拡大

メディチ家の国際的な為替・決済システムは、アメリカン・エキスプレス(以下、「アメックス」)になって初めて個人まで拡張されることになります。まずは「トラベラーズ・チェック」による個人国際為替です。それまでも個人が利用できる小切手はありましたが、旅行先では非常に不便でした。当時はアメリカの大手銀行が発行した小切手をヨーロッパの滞在中に使うことはできません。そこで現地通貨を入手しようとすれば、色々な銀行を回り、海外銀行発行の小切手を処理するのに銀行内でもたらい回しにされました。そこで1891年にアメックスはトラベラーズ・チェックを始めます。これによって、為替決済を個人旅行客に広げることができました。ここでは次のような画期的なシステムが必要になりました。

(a) 偽造困難な小切手の開発
(b) 換金した商店やレストランへの損失補償
(c) 紛失・盗難時にユーザーの損失を肩代わり、即時再発行

また、トラベラーズ・チェックの購入は前払いなので、資金繰りがプラスになって使用までの金利も稼げます。

次に、第二次世界大戦後のアメリカでクレジットカードが誕生しました。最初に導入したのがダイナースクラブです。破壊の後の全世界的な復興景気に沸き、特にアメリカでは消費ブームが訪れていました。当時、多くの信販会社が誕生し、消費者は月賦で物を買いまくる、そんな時代です。まだこの頃はクレジットカードの普及は限定的でしたが、バンク・オブ・アメリカ(以下、「バンカメ」)の参入により、大規模な普及が始まります。

クレジットカードは今でこそ、当たり前になっていますが、汎用のクレジットカードが成功するためには、利用者にとってはどこでも使えることが条件になります。そのためには加盟店を増やすことが必要です。加盟店が増えれば、利用者も増えて、さらに加盟店が増えます。いわゆるネットワーク効果です。そこまでたどり着くためには、加盟店と利用者の増加のための大規模な投資が必要です。

最初は滞納者が大幅に上回ったり(当初は滞納者を4%と想定していたら22%だったそうです)、クレジットカード詐欺に会ったりで踏んだり蹴ったりのスタートだったそうです(被害総額は現在価値で約720億円)。しかしそれでもめげずに改善をして続けた結果、VISAのネットワークが出来上がります。

クレジットカードの利便性はご存知の通りです。

(a) 利用者にとって手数料や会費が低額(手数料は無料)
(b) 加盟店にとっても手数料は取られますが顧客サービスにつながる。
(c) カード発行者にとってクレジット収入が獲得できる
(d) 巨大な専用ITネットワークが必要なので大手事業者に有利

現金を持ち運ばなくていいというのは本当に便利です。しかしクレジットカードのせいでいらん物を買ってしまうことが多いですね。まさに事業者の思うつぼになっている今日この頃です。

(教訓)
まずは自分が面倒くさい、と思うもの面倒くさくないものにするためにはどうするかを考えて商売にする。

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